トルストイ『戦争と平和』人物事典69(509~519人目)

 

・ロプーヒン(3-2-6)……五元帥のひとり。8月8日の重臣会議でクトゥーゾフを総司令官に選んだ。ロプーヒンの表記ゆれかもしれない。

・ロプヒーン(1756~1816年)(2-5-3)…元老院議員。フリーメイソン。ボルコンスキー老公爵の聖名日に呼ばれる。ほんのときたま会話に加わった。

・ロラン(1-1-7)…ペテルブルグから呼ばれた医者。ベズーホフ伯爵の治療にあたっている。感傷的なところがなく、「今夜です。その先はありません」と、患者の病状を明確に把握して表現することのできる自分への満足感を上品な笑みで表しながら、答えている。「徹夜の疲れを取るには、こういう上質のロシアンティーに限りますな」と、ひとりだけ異次元にいるあたりが医者っぽい。

・ロリストン(4-1-2)…ナポレオンの親書を持ってクトゥーゾフのところへ行ったが、講和など論外だと言われた。

・ロリストン伯爵…当時のロシア駐在フランス大使。

・ロワイスキイ(4-3-4)…コサック大尉。撤退するナポレオン部隊を狙うデニーソフコサック隊の一員。のっぽで、板みたいに薄っぺら、人馬一体の境地にある

・ワーニャ (2-4-11)…メリュコーフ夫人の子ども(小間使いかもしれない)。「ニキータ、ワーニャ、テーブルなんか片づけてちょうだい」。

 

 ★・ワイローター(1755~1806年) (1-2-13)

 

 

 1805年、シェングラーベンで戦死したシュミット将軍に代わって登場したオーストリアの将軍。オーストリア軍の参謀総長。軍事理論家。

 ボリスを訪ねたアンドレイは、「ワイローターと部隊配置の確認に出かけていたんです。ドイツ人がいったん正確さにこだわり始めると、もう果てしがありませんから!」と言った。

 

 

 前日の作戦会議では、自分の作戦が採択されたため、「自分が今や止めがたいものとなった一つの運動の先頭に立っている」と感じて、活気に満ちた様子であれこれ語る。将軍たちは、みんな気乗りしない様子で難解な計画を聞いている。ミロラードヴイチは、ほかの将軍たちを意味ありげな顔で見まわし、ランジェロンは悲しげに、「地理の授業か」と言い、クトゥーゾフは苦々しい顔で寝てしまった。ナポレオンを無力だと考えて、ランジェロンの反論を無視し、無理な作戦を強行しようとした。

 

 

・若い兵士(4-4-8)…第八中隊所属。零下18度の中、薪をかかえて入って来て、「ああ、露の原っぱで」と踊りながら歌い出した。「おい、靴の底が飛ぶぞ!」と赤毛が叫ぶと、若い兵士は、ぶらぶらしてる皮をひきちぎって、「こんなもの、いらねえや」と、焚火に投げ込んだ。

・ワシーリイチ…孫はミーシカで、ロストフ邸の走り使いをしている。

・ワシーリー・イグナーチエヴィナ(2-1-3)…イギリスクラブでのバグラチオン歓迎パーティーに出席。