トルストイ『戦争と平和』人物事典59(437~447人目)

 

・ミーシャ(2-4-9)…ロストフ家の小間使い。「あなたは燕麦をとって来て」。モスクワ放棄時に、ロストフ邸に残り、クラヴィコードを一本指で鳴らしている。「そら、うめえだろ!」。モスクワ炎上時に、「何をきょろきょろしてるか、このちょろめ」とダニーロに怒られている。

・ミーチェンカ1⇒ドミートリー・ワシーリエヴィチ

・ミーチェンカ2(e-1)…ニコライとマリヤの息子。父親にそっくり。食事でいたずらをして、パパからお菓子はやらないと言われて、ほかの子たちが食べている間、泣きそうな顔でいやしげに見ていた。「甘いものはやらずに罰することは、卑しい根性を助長するだけだ」と、マリヤは日記に書いている。

・ミーチカ(2-4-7)…ミハイル伯父(ロストフ伯爵の隣村に住んでいる)のところの御者。猟から戻ってきたら、ミーチカがバラライカを弾く習慣になっている。

・ミショー大佐(4-1-3)…自称「異国人でも心底からのロシア人」。皇帝を案内して、ドリッサの陣地がまったく無意味であることを論証した。皇帝が意見を求める会議の出席者のひとり。御前会議では、パウルーチとともにプフール派のヴォリツォーゲンを攻撃した。モスクワ放棄の知らせを携えたクトゥーゾフの使者として、ペトロブルグに赴く。ロシア語を知らない。モスクワは灰燼に帰したが、戦意は旺盛だと言って、皇帝を喜ばせる。

・ミハイラ(2-4-4)…狩猟頭。1810年の狼狩りの際に、ナターシャの猟犬の用意するように言われた。

 

 ☆・ミハイル・イワーノヴィチ(1-1-22)

 

 

 ボルコンスキー老侯爵の建築技師。身分は低いが、公爵の気まぐれで食事の席に加わることが許されている。主人の戦争の話より、あぶり肉に心惹かれる。

 1812年8月1日のアンドレイの手紙を受け取った老公爵は、戦争が間近に迫っていることを理解できず、だしぬけにミハイルに「おまえは、これをどう改造したいのだったかな……」と訊ね、新しい建築の計画についてひとしきり話し、アンドレイの手紙を置き忘れたまま、自分の部屋に立ち去ってしまった。

 ミハイルは、「あいかわらずせわしげに気をもんでおられますよ」と、いんぎんだがあざけるような薄笑いをもらし、マリヤを蒼白にさせた。別の場面では手紙を取りに行かされている。15年間、自分の意見を表明せずに老公爵に仕えてきたので、老侯爵の死後、マリヤの質問には、何も答えられなかった。エピローグでは、禿山で余生を送っていることが明らかになる。

 

 

・ミハイル・ザハールィチ公爵(2-5-20)…イギリスクラブでピエールに応対したボーイは、ピエールの交友関係を把握していたので、ミハイルが図書館にいると伝えた。

・ミハイル・ニカノルィチ(2-4-6)…ロストフの遠い親戚(ニコライの伯父)。あまり裕福でない隣村(ミハイロフカ村)の人物。愛妻家。「ちゃんと決まった場所にいて、じっとしているから」と言うナターシャに、「ただ、落馬だけはしなさんなよ」と忠告した。その後の兎合戦では、番狂わせで伯父のルガイが勝った。

 「ご苦労さん――早い話が!」「うちに寄って行けばいいさ、早い話が」「まったくたいした伯爵令嬢さまだ、まだお若いのに、早い話が、こんなお嬢様は見たことがないよ」「いいぞ、伯爵のお嬢さん、早い話が!」「何と素晴らしい姪っ子だ! あとはもう立派なお婿さんを選ぶだけだなあ、早い話が!」と、口癖をくり返している。ギターを弾く伯父の歌はメロディーが美しかったので、ナターシャは狂喜した。そして、もうハープなど習わない、ギターしか弾かないとまで決心した。

 

・ミハイル・フェオクリートゥイチ(4-3-4)…デニーソフ隊のコサック大尉で副官。のっぽで、板みたいに薄っぺら。ふとった頑丈なドン馬に乗っている。ペーチャとデニーソフと一緒に偵察に行くと、チホンが敵に追われているのが見えた。

・ミハイロ・シードルィチ(2-1-1)…ロストフ家の老僕。ニコライ帰宅時に、櫃の上で眠っていた。狼狩りのときに、会話がとぎれてしまったので、セミョーンが「この間また、教会の礼拝式から勲章をいっぱいつけて出てくるところをお見掛けしましたが、あのミハイル・シードルィチが……」と話し始めたが、すぐに黙った。(2-4-6)

・ミハイロ・ミートリチ(1-2-1)…ポドリクス連隊の大隊長。服装のことで連隊長とあれこれ話した。