朝ドラ「虎に翼」も開始後二カ月経過で、避けて通れない戦前戦中戦後の混乱期の話が続いている。結婚後に優三への愛が芽生えた可愛らしい寅子。そして、優三が出征する時の別れの「変顔」をする寅子。優三が亡くなった事を事実と受け止め、悲しみを出し続けた寅子。どれもグッとくるシーンだった。今までに見た中で最も可愛く感じたベッドシーン(布団だが)、今までに見た中で最も泣けた変顔、今まに見た中で最も長い時間アップで泣き続けたシーン、どれも何回見ても見飽きる事がない演技だった。伊藤沙利さんの凄さに感服した。そして、焼き鳥を包んでいた新聞紙に書かれていた日本国憲法に微かな希望を伺わせた。
そして旦那役の仲野太賀さんも凄い。元々、愛嬌がある顔で、良い人だが最後には相手を送り出すパターンの役が十八番。優三もそれに限りなく近いが、寅子が優三を愛する様になった所が今までの役とは異なる。
自分を優三に置き換えてみる。好きな相手と結婚できる。しかし、相手は自分を愛していない事もよく分かっている。だから心から愛を叫ぶことができないつらさ。それも理解して結婚している。献身的な愛がついに相手にも伝わり、自分の布団にゴロンと転がり込んできたら、もうたまらないだろう。しかし、その後も独特の距離を取っていた優三。男としてはもっと愛して欲しいと思うのが本音だが、そこをグッと堪えて自分の好きな寅ちゃんでいて欲しいと願う優三。本当に名前の通りの男だ。自分にはそこまでの優しさが無いという事実を感じさせるのは、かなりつらい事ではあるが。自分なら、ここまで献身的に愛してきたのに、何故貴方は僕をもっと愛してくれないの?と言ってしまうのが自分だった。そりゃあダメだな。愛して欲しいと思っているうちは愛の深い人間にはなれない。優三さんから多くの事を学んだ。
いや、もしかすると仲野太賀さんから学んでいるのかも知れない。彼の表情で表現する芝居は普通の人を表現するにはこれ以上ないものだと思う。普通が一番難しいのだ。
うーん、どちらも凄い役者だ。伊藤さんは2005年の「女王の教室」から見て来たが、いじめっ子の脇役からコツコツとキャリアを積んで来られた感があり、なお一層の感動を覚える。