AM7:30
結局、一晩中夜泣きで、私もミルミルもほとんど眠れなかった。
狭いベッドでの添い寝は、私以上にミルミルも苦しいはず。
眠れない間に、SNSや育児書で川崎病について検索した。
発生は原因不明、ということ。
そして、すぐに命を落とすような病気ではないこと。
心臓に後遺症が残らなければ、そこまで怖い病気では無いと、自分なりに理解した。
心臓に後遺症。ミルミルが?
果てしない暗闇に吸い込まれそうな気になって、それ以上を考えるのはやめておいた。
ただの、リンパの炎症かもしれないし。
まだミルミルが、川崎病だと決まったわけじゃない。
炎症云々の方が、川崎病よりずっと良い状態のように感じられた。
看護師さんの検温。
体温は、38.0
まだそれほど下がっていない。解熱剤が切れているはずなので、更にここから上がっていくのでは…という、悪い期待。
AM8:30
研修医の先生が、病室へ往診。
主治医の先生と違い、まだ一度もミルミルに針を刺していない(点滴、採血)ので、ミルミルは比較的安心している。
「ちょっとお腹を見せてね」と言われ、大人しく「いいよ」と呟いた。
すぐに、「あっ、発疹が出てる」という先生の声。
母も、慌ててミルミルの腹を覗き込む。
確かに、ポツポツと、赤い小さな斑点のようなものが、胸から臍までの間にいくつか見られた。
すぐに背中も確認される。
背中にも、僅かながら発疹が見られた。
「唇はどうかな…赤い、ですかね?でも熱が高いからかなぁ。」
発疹以外の症状については、先生も「症状が出ている!」とは判断しにくい模様。
だけど、発疹が出てきたことは、母に十分なショックを与えた。
川崎病に近付いている。
嫌な感覚が胸の中に広がった。
PM1:00
昼食後の検温、39.4度。
主治医の先生が病室に来られた。
ミルミルの症状を確認する。ミルミルは、主治医の先生が来たので最大限警戒したいが、ぐったりと力が出なくて動けない。
代わりに、「なになのよ、ミルミルねむたいのよ」とグズった。
「お母さん…今させてもらっている抗生剤の点滴は、炎症になら2日目には効いてくるんです。それが、今のミルミルさんには全く解熱が見られない。炎症が原因というわけではないということになります。」
ミルミルの背中を撫でる。
先生の次の言葉が予想された。
「やはり、川崎病だと診断します。
昨日少しお話しましたが、川崎病は発熱から5日以内に治療開始することが効果的だとされています。すぐに川崎病の治療を開始する準備をさせていただきたいと思います。」
お願いします、と。
頭を下げる他になかった。
まず行われるのはグロブリンという血液製剤を使った治療。それが効かなければ、段階を踏んでステロイド投与なども必要になるらしい。
署名が必要になる同意書の項目、一つ一つを先生が丁寧に説明してくれる。
危険性が、全くない薬では、ない。
だけど、早く症状を抑えなければ、ミルミルの心臓に負担がかかる。
考えれば涙が出そうだったので、淡々と理解を進めながら各書類に署名した。
PM4:00
グロブリンの点滴が開始された。
「まま、ちんどい。」
手を伸ばしてきたミルミルの手を握り返す。
異様な熱さに泣けてくる。
もうどのくらい、こんなにきついのをがんばってるんだろうね。
早く早く、お薬が効くといいね。
ママがついてるからね。