雨が降り出した。
屋根を、地面を打つ音に体が小さくはねた。
覚醒までの道程はもう少しあったけれど、眠りから急に引き上げられても不快ではなかった。待っていた。
手を伸ばして、窓をわずかに開くとしめやかな外気と音が頬に触れる。
そっと吸い込み、雨音と心のリズムを合わせていく。静まりながら、世界と一体になっていく感覚に、体の奥のどこかがほどけていく。
そうやって、ただ音と大気が自分を撫でていくのを感じていた。
熱のない、白い光を内包した柔らかい光線。青が沈む、翳りの無音。
心をひたし、ひんやりと冴え渡れ。