力強さだけではなく、軽やかさやしなやかさを兼ね備えたブラームスのピアノ協奏曲第2番。これらの要素をバランスよく表現した演奏は、なかなか見つかりません。

 

力強さであれば、ギレリスとライナーとの録音が圧倒的にすごいです。冒頭の地の底から湧き上がってくるようなピアノから、とてつもないエネルギーを感じ、オケ、ピアノともに一心不乱に圧倒的なパワーで突き進む演奏です。

ただ、やはり聴き疲れしてしまいますし、第3楽章は途中で飽きてしまいます。終楽章はギレリスの軽やかなタッチが印象的だけに、もっと違うアプローチがあったのでは、と思ってしまいます。

 

より聴きやすいのが、ポリーニとアバドのウィーン・フィルとの録音です。第2楽章中間部のまるで天使の羽が舞い降りてくるような神々しい表現は、このオケだからこそできるものかもしれません。ただ、同じ楽章冒頭のチェロが信じられないくらい気の抜けた音を出したり、前へ前へと進むポリーニとあまり呼吸が合っていないと思われたりする部分が見受けられるのが気になります。

 

バランスの良いのが、フレイレとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との録音。第一楽章等、オケがもっと鳴って欲しい部分もありますが、伸びやかかつ深みのある弦、明るめの音色の管楽器が落ち着いたテンポで丁寧に歌っており、気高い印象さえ受けます。フレイレのピアノは余裕を持った響きで、力強い部分でも押しつけがましいところがなく、しなやかな部分はとても綺麗に響きます。

 

走り気味の第2楽章等、気になる部分はあるものの、現時点ではこの演奏を一番気に入っています。

 

実際に聴いてみたくなるような名演です。

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聴いたコンサート