もしも、自分が相談を聞く側ならはやく諦めて次の恋に行くべきだ、そう言うと思う。

そんな恋をしている、わたし。

その人は背が高くてビジュアル系っぽい顔してて、歌舞伎町にいっぱい知り合いがいる。よくBARをはしごしたりして朝までお酒を浴びるように呑む人。お金はたぶんうちのお父さんよりも稼いでると思う。

それに比べて、わたしは背が低くてぽっちゃりしてて、童顔で今年から上京してきた田舎者。
自分がこれまで見たことのない景色に興味のある大学1年生。

上京してすぐ、なんとかお金を作らなきゃいけないと思って友達の家に居候しながら歌舞伎町のキャバクラでバイトをした。キャバクラでバイトを始めて初めてのアフターに参考程度に行った時、待ち合わせのBARにいたのがその人との初めての出会いだった。
年齢の割に若く見えたその人はスカウトマンだった。連絡先を交換して後日、2人でご飯を食べに行った。話をしているうちに年は離れてるけど好きな曲が多くてカラオケにも行った。
すごくはしゃぐその人を見て心から自分も楽しめた。そしてすぐホテルへ行って寝た。

でも、また会いたいと思った。

そしてよく会うようになった。その人の行きつけのBARに私も連れてってもらうようになった。もちろん、帰りはその人の家に行ってたくさんキスをして、たくさん温かさを感じた。
そしてその人を好きになった。
告白もした。
だけど、ダメだった。
前の彼女に裏切られた過去があるから、すぐに恋愛に発展させることができないから。


でも必ず、BARに行くと『俺以外の男と連絡先交換はするな』そう言われていた。
BARに行くと私の隣は決まってあなただった。
朝まで一緒に呑んだ後は家に行ってセックスはしなくても一緒の布団で身体をくっつけて寝た。


その人のモノのような、彼女じゃないけど温かいぬくもりに居心地の良さを感じていた私がいた。


わたしは、あなたから離れられなかった。

でも大学が始まって、歌舞伎町でキャバクラもやめて大学の近くの普通の喫茶店でバイトを始めてからその人の所へ行く機会は少なくなった。
距離を置いて、その人を諦めたいと思った。

だって、その恋はその人への執着心だけな気もしたから。

たまにLINEはする、そんな仲になった。

私の誕生日が近づいた時、LINEで私の誕生日を素敵な日にする、そう言われた。
そのLINEを見てものすごく嬉しくて嬉しくて、いっぱいニヤけた。幸せでいっぱいになった。

私は以前、その人の誕生日を一緒に過ごした。お店も選んで少しだけだけどご馳走をした。そのお返しなんだろうとは思った。だけど本当に嬉しかったの。

好きな人が自分の記念日に約束を作ってくれたこと、そんな嬉しいこと久しぶりだったのかもしれない。

私の誕生日は授業が終わってから新宿に向かった。その人は待ち合わせの10分後に来た。
まだかまだか、すごくうきうきした気持ちだった。柱の影に隠れておどかそうとしてずっと待った。結局は来た瞬間に目が合って、バレちゃったけど。

バレた時の気持ちも嬉しくて照れくさい気持ちだった。

誕生日当日は新宿から2人で電車に乗って品川まで行って前々からすごく行きたいって私が行ってた水族館に連れて行ってくれた。
イルカのショーは1番迫力があって感動した。
帰りにお土産コーナーでお揃いのハンカチを買ってもらった。

20歳、未成年から成年になる記念に成年になってから初めてのお洒落なお酒を2人で呑んだ。

特別な気分になれた。
それはあなたが一緒にすごしてくれたからだと思う。

だけどわたしは、あなたが私と付き合ってくれない現実に悩まされた。
私はスカウトマンのあなたに水商売を勧められたりしなかった。それを私は自分に好意があるんじゃないかなんていつも期待してしまっていた。


関係はなにも変わらないのに。


友達に相談したらその人の職業柄とかも含めてやめたほうが良いと言われた。

自分も彼氏がほしいなんて言ってこのままなら彼氏はできないと思った。だから勝手に距離を置いた。

離れて、あなたを忘れて、違う誰かに惹かれることがあれば良い、そう思った。