「やっちゃった…すごい数…」

私、森田ひかるの目の前には、先程○天や○mzonから届いた大量の写真集が置かれております。
昨日久々に夜更かしした深夜テンションで買った、大好きな恋人である保乃ちゃんの写真集が…大量に…

私が悩んでいるのは、本棚余ってたっけとかそんなんじゃなくて

「明日本人来るんですけど!!!」

そうなのです。この子達の隠し場所に頭を悩ませてるんです。



元々、保乃ちゃんから貰った写真集(サイン付き)はあった。
けど、ほんのすこーし保乃ちゃんオタクが入っている私は、Twitterで保乃ちゃんオタクの方が沢山集めているのを見て、どうしても羨ましく思ってしまったのです。

「だからってこんな大量に写真集買ってるの見たら、流石にひかれちゃうよね…」

机の上に置かれた写真集の表紙の保乃ちゃんと目が合う。誘われるようにして、表紙を捲った。ページを捲れば捲るほど保乃ちゃんに引き込まれ、頭は熱に浮かされたようにくらくらしてくる。

もう、明日の朝早起きして片付けよう…

私はベッドの上に身を投げ、写真集の紹介の時には楽しめなかった分まで楽しみ、気づけば眠りについていた。



「やばい遅刻する!」

次の日目を覚ますと、スマホが表示した時間は出発時刻20分前。
今日は雑誌の撮影だから、遅れるわけにはいかない。
ご飯食べて、身支度して、家を飛び出す頃には、前日ソファの影に置いた写真集のことは頭からすっかり抜け落ちていた。




雑誌の撮影の大半を終えて休憩に入ると、仕事が終わったらしい保乃ちゃんからLINEが入った。

『お仕事終わった〜!』
『今スーパーでお買い物中!』

『おつかれさま!私ももうすぐ終わるよ』

『りょーかい
『先おうちお邪魔してていい?』

『うん!もちろん!

送信した瞬間、昨日の記憶が戻ってきた。

あ、私写真集片付けてない

見られたらやばいと思い、追いLINEしようとしたところで、スタッフさんに呼ばれてしまった。
心の中ではムンクの「叫び」みたいな表情を浮かべつつ、撮影とインタビューを真面目にこなした。


その後、私は一目散に家に帰った。
(マネージャーさんに何かあったの、と心配されるくらいの焦燥の表情を浮かべながら)

自室のドアの前に着き、お願いだから気づいていませんように…と願いながらドアを開く。
玄関には保乃ちゃんがよく履くパンプスが綺麗に並べられている。
間違いなく保乃ちゃんが居ることを確認し、ただいまと言う声は少しだけ震えていた。


「おかえりひいちゃん」


リビングの彼女はいつものクッションに座っていて、その彼女の前には大量の写真集がありました。
その横顔は、正直何を考えているのか分からないけど、私の方は血の気がどんどん引いていくのを感じる。

「ひいちゃん、これさ」

保乃ちゃんの声にびくりと肩が浮いた。
その様子を見た保乃ちゃんはちょっとびっくりしたような顔をすると、おいでと手招きして、私を自分の膝に乗せてぎゅっと抱きしめてくれた。

「保乃、怒ってへんよ。だからそんなにびくびくせんで」

「ほんと?怒ってない?」

「いや、怒るとこないやろ。これはひいちゃんが買ったん?」

「う、うん。私が買ったやつだよ」

「なんでまたこんな大量に…」

「保乃ちゃんのファンの方が、ちょっと…羨ましく…」

保乃ちゃんはん〜と唸りながら、私の肩に顔をぐりぐりしてきた。
私は意を決して、これ見て嫌いになった…?と聞くと、なんでこれで嫌いになるん?と返されてしまった。
 
「あ、でもひいちゃんが写真集ばっかりで本物の保乃に構ってくれなくなったら拗ねちゃうかもしれんわ」

「い、一番は本物の保乃ちゃんだから!」


保乃ちゃんはにこりと笑うと、また私を抱きしめてくれた。その姿にキュンとしている私は本当に、どうしようもなく、彼女が好きなようです。