今、外科の先生の回診があった。少し遅れて耳鼻科の先生も部屋に入ってきた。

「どうですか?傷口は痛みますか?」イケメン外科医。
「痛みます。そんなに酷くはないてますが」私。
「傷口見せて下さい」イケメン外科医。
「あー綺麗ですね。これだったから、今日からでもポート使ってもらえますね。良かったですね」イケメン外科医。
「何で眠らせてくれなかったんですか?私は、眠った状態で手術をすると聞いてました。」私。
「睡眠薬を使ってしまうと手術中、顔を覆ってしまうと患者さんがどんな状態か?確認ができないので、安全面から睡眠薬は使わないですることにしました。意識があれば確認をとりながら進めることができるので。」イケメン外科医。
「怖かったですよ!聞いていた話しと違うし。私は、眠っていたかった。」私。
「どうも申し訳ございません。」イケメン外科医。
「本当に怖かった。眠ってないのに始まってしまうし」私。
「睡眠薬を飲んでもらう患者さんというのは、どうしてもじっとしていられずに動いちゃうような患者さんしか使わないんですよ。僕らいつもそうしていますし。」イケメン外科医。
「始める前に説明がほしかったですよ。何の心構えもなく始まって怖くて仕方がなかった。」私。
「その辺はそうですね。申し訳なかったですね。でもまあ、傷口も綺麗ですしなんの問題も無さそうなんで良かっです。ポートも今日からでも使えますからね。安心してくだいね。」イケメン外科医。
もう何も言えない私、只、何だかとっても悔しい気持ちでした。
人間的に負けてるように思う私。
イケメンだし。外科医だし。言ってることは正論だし。何か凹む。

イケメン外科医が去った後に、耳鼻科の先生が話しかける。
「傷は痛くないですか?」耳鼻科の先生。
「はい」私。
「先生もああ言っておられたんで、良かったですね」耳鼻科の先生。 
耳鼻科の先生にもイライラしてる私。
いつもうすら笑いしてるような顔だからかもしれないあんまり話しが入ってこない。
先生は、そそくさと去って行ってしまった。

虚しいなあ。

傷口が臭くてたまらない。
恐らくレーザーメスで焼いた匂いなんだろ。
臭くて仕方が無いから、すぐそこの庭から『ローズマリー』を少しもらい、洗って、シールで貼り付けてある。
今日は、この匂いから解放されたくて、午前中にお風呂に入らせてほしいと依頼をしました。
お風呂に入って、リフレッシュしたら、きっとこの落胆した気持ちから解放されるだろ。