古き良きもの | なっちのステッチ・トーク

なっちのステッチ・トーク

レースデザイナーで刺繍作家のなっちが綴る、ゆるゆる日記

仕事柄、アンティークのレースや刺繍のサンプルを貼り付けたブックをいつも見ている。

ヨーロッパで作られた、オールド・コレクション。



分厚く大きな本で、数百年経過したそれは、まるで古い魔法の本のよう。
台紙の色も 趣深いセピアに変色し、歴史というものを感じさせる。

名もなき職人たちが 技術を駆使し、手作業で作り上げたサンプルの数々は、

どれだけ見ても見飽きる事がなく、いつも新たな発見に満ちている。


これを作った人々は、自分の作品が時代を超え 遠い異国の地に渡ってなお

感動を与え続けるなんて、思ってもいなかったはず。

先達の素晴らしい仕事に触れるたびに、何とも言えないときめきと尊敬の念が湧いてくる。
きっとこのブックは、また時を経て 誰かの手に渡り、新たな創作のヒントになるのだろう。

ほんの一時、ここに留まって、また誰かに託されてゆく。


本当の宝とは、所有するものではなく、伝えてゆくものではないかと思う。

命を継いでゆくことも。


こういうものが、途絶える事のない世界であり続けてほしいと願ってやまない。