nabisonyoです。
当ブログにお越しいただきありがとうございます。
こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。
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2020年7月
パリに来た日からお父さんとジスさんは毎日連絡をくれる。二人からの連絡は嬉しくて、お父さんからの電話にはすぐに出て、ジスさんからの電話にはドキドキする胸を落ち着かせるために息を整えてから出た。
そして、そのジスさんもパリに仕事で来ているらしく、ジョンヒョンおじさんとベクオッパといることを教えてくれた。
「仕事の後に、みんなで一緒にパリで会えたらいいですね」
そんなふうにこの素敵な街で会えないかと会話を終えたのが昨日のこと。淡い期待を持ちながら、今日は昼からオルセー美術館に来ていた。
ジュヒョクさんはいつも通り模写をすると言って館内に入ってから二手に別れ、美術にうとい私でも知っている超有名な芸術家たちの作品をじっくり鑑賞した後、5階に移動しこの美術館の大時計の内側からパリの景色を見てお茶をする。たっぷり楽しんだ後はパンフレットを見ながらもう一度見たい作品を考える。それも終わると夕方で。離れがたいけど席を立ち、ジュヒョクさんを探した。
いくつかのブースを覗いて探していた人を見つけることができた。ジュヒョクさんは有名な絵画を前にして真剣に模写をしていたけど、携帯が鳴って話し出した。
邪魔にならないように少し近づくと、スケッチブックに描かれていた人は絵画と同じポーズをしたジュヒョンさんで。
‟前世からの恋人”
そんな人と巡り逢える奇跡に対して声に出た。
「……いいなぁ」
「ペガ兄上はダメだぞ」
急に声がして驚き、声がした方をみるとジスさんが立っていた。仕事が終わってすぐに来たのかスーツ姿のままで不機嫌な顔をして。
「……何が、ダメなんですか?」
「ペガ兄上にはウヒさんがいる。……お前は子供だからまだ恋愛は早い」
子供だから……。
結局、私が高麗時代で子供だったから。
どうしても、私の中身を見て一人の女性として見れくれないんだ。
「誰を好きになっても……いいじゃないっ!」
私は逃げ出した。
気持ちを受け入れてもらえないことに目を背けるように。ワガママな子供のように。
逃げ込んだ先のオランジェリー美術館でジョンヒョンおじさんへ電話する。
何もできない。
フランスに来て、一人でいることもできない。
気持ちを爆発させて、話し合わずに逃げ出してしまう。
今の言動も、高麗でも。やっぱり……子供だった。
睡蓮の絵の前に座っているとジョンヒョンおじさんが来てくれて。もう少し絵を見たいと言うと面倒くさそうだったけど、それでも隣に座ってくれる。ベクオッパたちも、分かりにくいけどそんなジョンヒョンおじさんを頼るんだろう。おじさんが隣にいるから安心することができた。
閉館時間が近づき、ジョンヒョンおじさんのホテルの部屋へ帰る。ミネラルウォーターを出してくれたおじさんに呼び出した理由を説明した。おじさんはジスさんの今一番大事な人は私だと言ってくれるけど、それは守るべき子供だからで。守りたい女性じゃない。
何だか眠くなってきた頭。考えることをやめた。おじさんが帰れと言うけど。『一緒に寝る』と言うとフワリと体が浮く感覚。
「お父さんと同じ香りがして安心する」
やっぱり、兄弟なんだ。
妙に納得した。