nabisonyoです。
当ブログにお越しいただきありがとうございます。
こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。
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2020年3月上旬
何でこんな状況になっているのか……。
いや、分かってる。分かってるけど、でも何でっ!?
この間行われた高校時代の子たちと飲んだ後に、ジスさんが言っていた飲み会が自宅で行われることに決まって、金曜日の今日開かれた。名目は私の入学祝い。それをしてくれた人はジフお父さん、ハジンお母さん、ベクさん、ジュヒョクさん、ジスさん。
お祝いをしてもらえるなんて初めてのことで、私はそれだけで満足だったけど、飲み会に参加していないサノおじさんからは素敵な万年筆、ハヌルおじさん夫妻から参考書を買うようにと図書カード、ソヌさんからは現金、ギジュさんとスンジュさんから服をお祝いにもらった。
こんなにみんなから良くしてもらえて嬉しくて、終始口の端が上がっていた。
そんな様子が変わったのは12時を過ぎた頃。
いつもはザルのように飲んでいるジフお父さんが、前日仕事で徹夜だったせいか割と早めに。と言っても11時過ぎていたけど。寝室へと向かった時までは良かった。あ、その前にすでにベクさんはラグの上で寝ていたけど……。
そしてハジンお母さんとジュヒョクさんが仲良く飲み始め、ジスさんも一緒に飲んでいた。終始楽しそうであったけど、途中から雲行きが怪しくなり呂律が回らなくてケラケラと笑い始めたハジンお母さんがローテーブルに伏せて、ジュヒョクさんがソファにもたれて、それぞれ寝息を立て始めた。
「あ~あ、ペガ兄上とヌナ。風邪ひきますよ」
ジスさんがジュヒョクさんを揺すっても起きる気配がないから、寝室に行き毛布を三枚持ってきて寝ている三人にそれぞれ掛けた。
私はこの状況をどうしようかと悩み、ローテーブルの上に溢れているグラスやお皿を片付けようと中腰になった。
「ソルファ」
名前を呼ばれてドキッとした。
あの日からこの人に名前を呼ばれたり、視線が合うだけでドキドキと胸が早く鳴る。相談する相手なんていないけど、この気持ちはさすがに分かった。
‟恋”、だと。
ドキドキするせいで震える声を出して返事をすると、真っ直ぐで真剣な目が私を離さない。大きな手が私の頬に触れ、思わずギュッと目を閉じ恐る恐る目を開けると、すごく優しい顔をしたジスさんが言った。
「ソルファは可愛いな」
「ッ!?」
自分の顔に一気に熱が集中する。元々可愛がってくれていることは分かっていた。けど、今の言葉は酔っているから言うのか。
でも。
それでも、私を受け入れて欲しい。
「あの……」
ジスさんの前に座り、大きな胸に震える手をそえた。
「ん?」
酔っぱらっているからいつもよりホワンとしたジスさんが、小首をかしげて子供みたいに純粋な目を私に向ける。
「ポ……。ポッポ、して」
自分の気持ちを総動員して言うと、クスリと笑ったジスさんが胸に置いた私の手を握り、少し引き寄せチュッと頬にポッポした。頬が熱く、頭が沸騰しそうなほどで。胸のドキドキが最大速度で鳴っているのではないかというくらい。
「ソルファは昔から可愛いな。よくポッポをせがんで。そんなところは変わらない」
「え?……昔?私とジスさんって昔、会ったことあるの?」
聞いたことがなかったけど。もしそうだったらあの日、私を見つけてくれたことが納得できたし。出会うことが運命みたいで嬉しかった。
「当たり前だ!ソルファは俺が育てたんだから!」
私の頭をグシャグシャと撫でながら、ニコニコと笑って。でも思っていた答えとは違う内容に私の頭は疑問符ばかり。
「高麗で、だよ。そりゃ、本当の親はソ兄上とヘ・スだったけど、ソルファは俺の大事な大事な娘だった。産まれたては小さくて、ヘ・スはお前を案じながら亡くなった。だけど少し大きくなればヘ・スと同じでお転婆で。ソ兄上だって本当はお前をそばに置いておきたかったけど、敵が多かったソ兄上はお前を守るためにはどーしてもできなくて。だから本当に!今。ソ兄上とヌナはお前と暮らせて幸せになれたんだ。俺にも、ソ兄上にも、ヌナにも。もっと甘えてワガママ言って良いんだぞ?」
「……」