nabisonyoです。
当ブログにお越しいただきありがとうございます。
こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。
※こちらは『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』も関係する二次小説になります。
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確かにいじめられた後、向き合うように寝転び私を抱きしめてボソリと言った。
「あの人……俺の母。高麗でも俺の母だった」
「え?」
顔をジョンヒョンに向けると諦めたような笑いを浮かべ、ため息を一つ吐き出した。視線を避けるように私の頭に顎を当て、後ろ髪をいじり始める。
「あの人は高麗で権力が欲しかったんだよ。皇帝の母になりたくて、俺を持ち上げた。それだけじゃ足りず父親の愛も欲しくて、それを拒絶された日に隣にいたソの顔に怪我を負わせ、あいつを捨てたんだ。そんな親でも子供だった俺は母の愛情を失いたくなくて皇帝になるために汚い手を使った」
以前話してくれたこと。でも今日は続きも話してくれた。
「高校生、だったか?高麗でのことを全部思い出した。そして目の前にいるのはまた同じ母で、同じように俺を操ろうとしている。勉強、スポーツ、交友関係。すべてに関与しようとする。それまでは従順だった俺が、もうあの人に嫌悪しか感じなくて。前職の外資系に入社したのもいつでも海外へ転勤できるようにだった」
「……入社して数年経った時。ソがヘ・スに向けて出した広告を見つけた。最初は無視したよ。もうこれ以上過去とは関りたくなくて。だけど毎年広告を出すソを振り切るには、いっそ近づいた方がいいのかと思って会ってみたんだ。そうしたら……こんなだ」
「……会って、良かった」
「……あぁ。だからこそ、あいつらにあの人のことを知られたくない」
腕の力を込めたジョンヒョンに、また背中をポンポンと子供をあやすように叩いた。
「うん、分かった。言わない」
「……だから。慰め方が子供だろ」
フッと笑い、手を広げ仰向けになったジョンヒョン。抱きしめられていた温もりが無くなり心もとなくなる。
「きっとお前にも、何かしてくると思う。迷惑かけるができるだけ何とかする」
「そこは、‟絶対に迷惑をかけない”じゃないの?」
「ムリだな。できない約束はしない。だが、何を言われても。どんなことがあってもお前は俺のそばにずっといろ」
頭の下にあった腕に引き寄せられてジョンヒョンと密着する。またジョンヒョンの温もりが伝わって来た。
「うん」
すべてを解決できるなんて思わない。
だけど。
きっと少しずつ、大事な人が増えて。
明るい世界へと二人で歩いて行けるだろう。