nabisonyoです。
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こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。
※こちらは『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』も関係する二次小説になります。
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呆然とした表情の女性は玄関ドアが閉まり見えなくなった。一拍するとドアが何度か叩かれジョンヒョンを呼ぶけど、苛立つジョンヒョンが声を荒げドアを叩いた。
「帰れっ!」
その声に驚いたのか、しばらくするとカツカツとゆっくりヒールが遠ざかって行く音がした。ジョンヒョンは大きなため息をついて『シャワー』と一言だけ発してバスルームに向かった。
早めに帰ることができたのに、何だか夕食の気分にもなれず。買ってきた果物をキッチンのカウンターに置く。猫の餌を準備するとナビが近づいてきてご飯を食べ始める。背中を数度撫で、自分の部屋に入った。ゲスト用だったこの部屋は、ほとんど使ったことがないけどシャワーが付いているからここで汗を流した。あの調子だとジョンヒョンはしばらく出てこないと思ったから。
濡れた髪をベッドに座り拭いているとジョンヒョンがドアを開けて顔を覗かせた。思っていたより早く出て来たと思い、何か食べるか聞くと無言で首を横に振り、そのまま部屋に入って来る。
「ジョンヒョン、風邪ひく。そんな恰好じゃ。髪も濡れてる」
バスタオルを腰に巻き上半身は若干水滴があり、髪も濡れたまま。自分の髪を拭いていたタオルでジョンヒョンの髪を拭く。私の動きを大きな手で止め、哀し気な目をしたジョンヒョンが言う。
「……抱きしめろ」
「……」
どこまでも上から目線なジョンヒョン。呆れて一つ息を吐き、しょうがなくジョンヒョンの背中に両手を回して耳を胸に当て、心臓の音を聞く。その音に合わせてポンポンと背中を叩くとジョンヒョンからフッと笑いが漏れた。
「何よ?」
顔を上げて睨むと、いつもの顔になってニヤリと笑っていた。
「慰め方が子供だな」
そう言い、屈んだと思ったら膝裏に腕を回し私を持ち上げた。
「うわぁ!ちょっ、危ない!」
普段感じないほど天井が近くて、ジョンヒョンの頭を覆いかぶさるように掴んだ。
「お前、また軽くなったか?飯を喰え。ジョンと同じだけ喰わせるぞ」
笑いながらドアをくぐり、自分の部屋へ移動する。ベッドに私を下ろして座らせると、隣にうつ伏せになって寝転び顔だけ私に向けた。
「……悪かったな。今日は」
謝られたことに驚いて目を見開いて寝転んでいるジョンヒョンを見下ろす私に、眉を寄せすぐに不機嫌な顔になった。
「俺だってたまには謝る。それに、これからいじめるからな」
やっぱり最後はニヤリと笑って噛みつかれた。