nabisonyoです。
当ブログにお越しいただきありがとうございます。
こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。
※こちらは『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』も関係する二次小説になります。
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2022年1月
噛みつくようにキスをされ、ジョンヒョンの手は私の手首と腰を持っていた。でもジョンヒョンの手と唇が離れたので淋しく感じたら、ジョンヒョンは自分のシャツのボタンをはずし始めた。
その行動の意味を理解し、ジョンヒョンの体を前に恥ずかしくなり視線を逸らすけど、少し顔の向きを戻してシャツから見える腹筋を見た。そんな私に気がついたジョンヒョンが私の左手を取りしっかりと割れた腹筋に触らせた。
「気に入ったのか?俺の腹が」
いつもの口角を上げてニヤリと笑う姿さえ、何だがゾクリとしたものを感じ、慌てて視線を逸らす。だけどそうすることで空いてしまった首筋にジョンヒョンの顔が近づいてきて、囁くような声で何度も私の名前を呼ぶから。囁かれるたびに小さな息遣いにくすぐったさと、微かに動く唇が首筋に触り、小さな震えがおきる。
「ジアン。……ジアン」
「んぅ……ぁ」
自分から出たことがない声が出て、恥ずかしいような悔しいような気持ちがしてさらに顔を背ける。だけどジョンヒョンが言った。
「どんなジアンでも俺は構わない。もう手放せない。俺のそばがお前の場所なんだ。いいな?」
命令口調に反発したくて文句を言おうとしたけどすぐに唇を塞がれ、抱き上げられた体は壁に押し付けられた。首筋から徐々に下がって来るジョンヒョンの唇の動きに声を出さないように目を強く閉じ、唇を噛むのがやっとだったのに、突然タンクトップと素肌の境目に痛みが走った。
「痛っ!」
驚いて強く握っていた時計はカシャンと音を立てて落ち、目を開けると痛みが走った場所は小さく歯型が付いていて、ジョンヒョンがニヤリと笑って今度はそこを小さく舐めた。
「ちゃんと俺を見ていろ」
そう言うと私を抱き上げたまま数歩を歩き、ベッドへ二人で埋もれるように倒れた。それからすぐにジョンヒョンの体温と私の体温が混ざりあって。いつも上げている前髪が重力で降りて、時折私に見せる苦しんでいた表情とは違う、蠱惑的な我慢をする表情を見て、なぜだか溢れ出た私の涙にジョンヒョンは唇を当てた。ゆっくりと離れたそれと一緒に私もゆっくりと目を開けると、不安げな視線とぶつかった。そんな珍しい表情を見せてくれた嬉しさと、安心をさせたくて、重い体を少し持ち上げてジョンヒョンにキスをして、またベッドに背中を預けた。
「いつからジョンヒョンが私の心の中に生き始めたのか分からない。だけど、こんな幸せな気持ち初めてで。ジョンヒョンさえいたら、もう何もいならい。地獄だって、暗闇だって、何だって良い。だから、ずっとそばにいて」
まだ息の上がっているなか気持ちを伝えると、ジョンヒョンは私にだけ見せる顔をした。
ベッドで横になりジョンヒョンの腕に包まれ、心臓の音が聞こえてくる。規則的な鼓動にウトウトと眠気が誘われてきた時、ジョンヒョンが私の髪を一房引っ張った。
「おい。ジアン」
「……ん?何?眠い……」
「高麗で……あったことを話す」
顔を上げると真剣な顔をしたジョンヒョンがいた。
話し始めると内容は筋が通っていて解りやすく、それでもその時のジョンヒョン自身の感情も交えていた。きっと今まで何度も何度も繰り返し思い出して、そして後悔してきたはず。
何を間違えたんだろう?
どうすれば良かったんだろう?
愛して欲しかっただけなのに……きっと、そんなふうに。
時々苦しそうに、時々堪えて、ジョンヒョンは昔話をしてくれた。
私にとっては映画やドラマのような話でも、ジョンヒョンにとっては今でも自分に起きた現実のことで。その心をひどく苦しめている。
初めはジョンヒョンの胸の中にいたけど、今は私がジョンヒョンを胸に抱いている。プライドの高いジョンヒョンが私の背中に腕をまわし震わせる声は、心の傷の深さを表している。
私もジョンヒョンも、ずっと罪の意識は消えることはない。
だけど二人でいれば、それでも微かな光が差して見えてくる未来があるだろう。
「私はずっとジョンヒョンのそばにいてあげるから」
ジョンヒョンの頭を抱えてそう言うと、のっそりと顔を上げたジョンヒョンは泣きそうな顔でフッと口角を上げて笑った。
「俺がジアンのそばにいてやるんだよ」
「だから……ずっとそばにいろ」
後日、ハジンさんと二人で会った時に高麗での話を一通り聞いたことを話した。当然ハジンさんに起きた信じられない話もそこで聞いた。
『結局、ソ皇子様もヨ皇子様もマザコンなのよ。たまには母親みたいに強く出た方がジアンもきっと上手くいくわよ』と、いたずらっ子のように笑いながら言われた内容は誰にも秘密にしておこうと心に決めたことは言うまでもない。
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次回の『いつから心の中に君が生きたのか』はアメンバー限定記事にさせていただきます。
いつも読んでいただきありがとうございます<(_ _)>