nabisonyoです。

当ブログにお越しいただきありがとうございます。

こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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沈丁花 : 永遠

 

 

沈丁花

 

 

チリン……。

開店前に優しい音色と一緒に入ってきたのはわたしに優しい目を向けた人だった。

 

「これをお前に……」

 

「ありがとう、ジフさん」

 

差し出されたのは白い小さな花がいくつもついて丸い形を作っている一本の枝。その花の名前は沈丁花。そして受け取ったわたしは顔に花を近づけ香りを楽しむ。

店の窓際に置いてある、試験管がいくつも繋がった形をしているフラワーベース。その中の空いている一つに水を少し注ぎ、それを入れた。

 

一輪ずつ色とりどりの花が並ぶ。

桃、クロッカス、蓮華草、マーガレット、フリージア、タンポポ、カリン、アネモネ。

 

追加された一枝から微かな香りが漂い、春の花の香りがわたしの心を満たしていく。小さな可愛い白い花をチョンと指で触ってジフさんに顔を向けた。

 

「良い香り。この花大好き。……花言葉は、何ですか?」

 

「毎年言っているだろう?」

 

クスリと笑ってわたしに言うその優しく響く低い声。それがもっと近づいてくる。

 

「えぇ、それでも教えて欲しいんです」

 

わたしの目を見つめて彼は口を開く。

 

「……永遠」

 

わたしの腰を持ち自分へ引き寄せて、もう片方の手を頬にあてる。

 

「永遠に、愛してる(ヨンウォ二 ウニョハンダ)」

 

優しいキスが降ってきて。朝の光の中、この小さなお店の中に幸せが満ち溢れていく。ジフさんの胸に頭を預け、もっとその幸せに浸る。

 

それを壊すかのようにバタバタと音がしたと思ったらバタン!と店の奥の扉が開き、二つの元気な声が響いた。

 

「オンマ!朝からイチャつくなよ!行ってきます」

 

「アッパ!花屋が毎日タダで花をプレゼントしてどーするのよ?行ってきまーす」

 

「いーんだよ。ハジンは特別だから。二人とも気を付けろよ!」

 

「いってらっしゃい!」

 

勢いよく飛び出して行った二人の背中に向けてジフさんとわたしが声をかける。

 

ジフさんのお店の隣が空いた時、わたしは自分のお店を開いた。ヘアメイク、エステ、お茶。わたしの好きな物を取り扱うお店。

そして毎朝お店を開ける前にわたしに一輪の花を届けてくれるジフさん。

それは結婚しても、お腹に赤ちゃんが宿っても、産まれても、大きく成長しても変わらずしてくれる、言葉にはしない花による愛の囁き。

 

二人を見送った後、また静かになったお店で優しい視線と重なった。

 

 

「わたしも、愛してます(ナド、ウニョハムニダ)」

 

 

 

365日。

それが幾年も重なり永遠に続く愛になる。

 

 

 

 

 

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※34話に出た花の花言葉

桃 → 私はあなたのとりこ

クロッカス → 切望

蓮華草 → 私の幸せ

マーガレット → 真実の愛

フリージア → 親愛の情

タンポポ → 真心の愛

カリン → 唯一の恋

アネモネ → 君を愛す

ハジンは毎日、ジフさんから一輪のお花と言葉で愛を伝えてもらっています照れ

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

 

 

 

 

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