nabisonyoです。

当ブログにお越しいただきありがとうございます。

こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ストック : 求愛

 

 

ストック

 

 

ピン……ポーン。

インターホンの音がした。

泣き疲れてベッドで横になり、眠りに落ちかけている時だった。聞き間違いかと思い、そのまま意識を手放そうとした時、遠慮するようにもう一度インターホンが鳴った。もしかしてジュヒョクが何か忘れ物でもしたのかと、重い体を無理矢理起こし玄関へと向かった。

 

「ジュヒョク?何か忘れたの……?」

 

玄関ドアを押し開け、長く垂れた髪と腫れた重たい瞼を持ち上げると、思っていた人と違う人が目の前に立っていた。

 

「……おい。こんな夜中に誰かも確かめずに開けるな」

 

眉根を寄せて言う彼は、しばらく。ううん、もう会わないと決めていた彼だった。

 

「か……んけいない、じゃない、ですか」

 

反論したのに大きく一歩踏み出して、玄関の内側に遠慮なく入ってきた彼にわたしは後退る。狭い玄関を彼の体が大きく占めた。見上げたその顔は相変わらず不機嫌そうで、わたしの心の傷口を抉るように痛めさせる。

 

「関係はある。好きなヤツがいるんだろ?ジュヒョクか?ジスか?ハヌルか?」

 

「違いますってば!突然なんですか?」

 

「じゃあ、誰だ。今回は、『ペガじゃないならいい』とは言わないぞ」

 

「誰かなんてそんなの言うわけないじゃ……え?」

 

「俺だけだと言ってくれ」

 

「……ジフさん?」

 

「まだ、待っていてくれたか?それとも、もう……俺を捨てたのか?」

 

苦しそうに眉を寄せてわたしを見つめる彼に、わたしの心がギュッと締め付けられた。

 

「……陛下。遅い!遅いですよ!どれだけ待ったと思ってるんですか!?どんなに手紙を出しても返事もくれない。陛下こそわたしが憎かったんでしょ?わたしを捨てたんでしょ?この世界でもずっとずっとわたしのこと怒っていたじゃない!」

 

陛下の胸を何度も叩いていたけど簡単に両手で止められた。

睨むように陛下を見上げると、わたしの目をしっかりと見つめ返し、小さく口を開いた。そして低い声が耳に響いた。

 

「忘れたのか?お前は俺の人だ」

 

 

「お前を、愛してる」

 

 

「……ぁ……あぁ」

 

わたしの心に響く甘い声。その声を聞いて、わたしの口から懺悔、後悔、慕情、愛情、安堵、色々な感情が混ざった音が漏れた。

 

 

『사랑한다(サランハンダ)』じゃなくて……。

『은혜한다(ウニョハンダ)』って言った。

 

あの頃と同じ、愛の言葉。

 

 

脳に届いた言葉がわたしの涙腺を刺激し、とめどなく涙が溢れ出た。そんなわたしを陛下は抱きしめる。最初は戸惑いがちに、次第に力が入り、わたしの肩へ陛下の頭が降りてきた。

肩がじんわりと温かく次第に冷たくなるのを感じ、陛下も泣いているのだと分かり、その大きな背中を強く抱きしめた。

 

「もう、会わないつもりでした。嫌われているのに、そばにいられるほど強くないです」

 

「すまない。ジュヒョクが言う‟運命の人”がお前だと思っていたんだ。どんなに惹かれても弟の好きなヤツを奪うわけにはいかなかった。だから突き放すしかできなかった」

 

「何よ!ペガ以外の相手なら殺すなんて物騒なことまで言ったくせに。そんなに簡単に諦めるなんてヒドイです!」

 

「悪かった。ヘ・ス……コ・ハジン。だけど、ジュヒョクだからこそ、これだけ悩んだんだ。例え他の兄弟だったとしても奪ってまで自分のものにしようなんてできないが、ジュヒョクだからこそ余計苦しかった。だが、今回はジュヒョクの‟運命の相手”だと皆が思っていたからお前を好きになるヤツが俺以外いなくて良かったよ」

 

ゆっくりとわたしの肩から離れた陛下はやっとわたしに微笑んでくれた。現代で再会してから初めて見せてくれた笑顔。

 

「ホント……昔から意外と優しい人なんだから」

 

「おい!……お前が俺の心に入らないようにするために傷付けたな。すまなかった。だが、結局お前はいつだって俺の心に入って来るんだ」

 

「だって、わたしはあなたの‟人”だから。忘れないでください」

 

そう言って背伸びをし、キスをする。

 

「ずっと、待ってました。離れて……一人にしてゴメンなさい。そばにいられなくてゴメンなさい」

 

「俺こそ待たせて悪かった」

 

抱きしめた腕の力を、お互いもう決して離れないと強くした。

 

 

 

 

 

牡丹

そう名付けられた花。中国原産のそれは盛唐から高貴な人々に愛されるようになった花であり、多くの有名な歌人にも詠まれてきた。絹のような花びらが幾重にも重なる姿からか、花言葉は「王者の風格」「富貴」などがある。

また牡丹の別名は 「百花王」 「花王」 などがある。

その名前から分かるように『花の‟王様”』である。

 

 

 

 

 

「……牡丹?」

 

緑豔閒且静 (りょくえんかんにしてかつせいなり)

紅衣淺復深 (こういせんにしてまたしんなり)

花心愁欲断 (かしんうれへてたえんとほっす)

春色豈知心 (しゅんしょくあにこころをしらんや)

 

葉は緑が艶やかで優雅でありながら静かだ

花は紅衣で淡い紅色から深紅まである

陛下を愛するわたしは悲しみの心を断とうとしている

春の光は陛下の心を知っているのか

 

 

大丈夫。あなたは牡丹の香りに乗ってわたしの元に来てくれた。

来てくれて、ありがとう。

愛してくれて、ありがとう。

 

 

 

 

 

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ちょっとここで韓国語レッスンです!?

今回のお話に出て来た『사랑한다(サランハンダ)』と『은혜한다(ウニョハンダ)』について。

 

『은혜한다(ウニョハンダ)』というセリフは、ソ皇子様がム皇太子様の娘と結婚が決まり、ハジンがジョン皇子様を部屋に泊めてケンカをした後、茶美園での仲直りのキスシーンでも言っています。

『사랑한다(サランハンダ)』と『은혜한다(ウニョハンダ)』も、両方『愛している』と訳されていますが本来は若干違います。

『사랑한다(サランハンダ)』…愛している

『은혜한다(ウニョハンダ)』…恩恵している → 昔の言い方で、日本の時代劇風だと お慕いしている 的な感じかな?

サランハンダって言ってないのに、愛してるという訳になっているのはなぜ?と、韓国人の方に聞いて判明した内容でした合格

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

 

 

 

 

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