nabisonyoです。

当ブログにお越しいただきありがとうございます。

こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ハナミズキ : 私の思いを受け入れてください

 

 

ハナミズキ

 

 

早番だったけど何だかんだと仕事があり、遅めの時間に店を出ることになってしまった。見上げた空はすっかり藍色になっていて、仕事を終えた区切りのように息を一つ、大きく吸って吐き出した。

地下鉄の駅に向かって歩いていると知っている人の声が聞こえたように思えて、そちらへ顔を向けるとウク皇子様とミョンオンニがいて。現代で初めて見たミョンオンニの姿を見て驚きで思わず声をあげてしまい、わたしの声に振り返った二人に気づかれてしまった。

 

「……君は。コ・ハジンさん」

 

「……」

 

わたしが頭を軽く下げて挨拶をするけど、ミョンオンニは気まずそうな顔をしてウク皇子様を見上げた。するとウク皇子様はすぐにその視線に気が付き、わたしをオンニへ紹介した。

 

「シウン。この子はジュヒョクのガールフレンドでコ・ハジンさん」

 

「コ・ハジンです。こんばんは」

 

少しだけ頭を下げて挨拶を返してくるミョンオンニとウク皇子様の間には微妙な空気が流れている。オンニは目が赤く、明らかに泣いていたのか、それに近いことになっていたはず。ウク皇子様はオンニの手首を握り、逃がさないようにしているようだった。

 

「あ!シウンさん?ちょ~っとお聞きしたいことがあるんです!ちょっと!お話していいですか?」

 

オンニの腕を引っ張り『あ?え?』と声をあげるウク皇子様を他所に、歩道の端へオンニを強引に連れて行った。引っ張られてきたオンニは困惑顔でわたしに聞く。

 

「な、何かしら?」

 

「ハヌルさん。別に無理矢理、とかじゃないですよね?でもチョット困ってます、よね?それなら……わたしと逃げちゃいましょう♪」

 

「え!?」

 

「ハヌルさ~ん!オンニとわたし、とっても大事な用事ができましたから。ゴメンなさ~い!」

 

ウク皇子様に向かって大きな声をあげ、オンニの手を引っ張り走り出した。驚いて固まっているウク皇子様を後ろに、しばらく走って立ち止まる。二人して息があがり、肩を大きく上下した。

 

「シウンさん。大丈夫ですか?急に走らせてしまってゴメンなさい」

 

「ハァハァ。フフッ。ハァハァ……。いいのよ。ビックリしたけど、楽しかったわ」

 

整わない息を出しながらも笑っている顔は少し上気して、高麗時代に亡くなる時の青白い顔とは違い血色が良くて安心した。

 

「少し、お茶でも飲んで話しませんか?」

 

そう言ってオンニをお茶に誘い、二人で近くのカフェに入る。人もまばらにいて、仕事終わりで夕飯もまだだったわたしはしっかり食べようかとカウンターでメニューと睨めっこをして少し悩んだ。一方でオンニは紅茶をすぐに頼んで、注文したものが席に届く間にお互いの自己紹介を改めてした。

 

「わたし、コ・ハジンっていいます。ジュヒョク……ハヌルさんの弟さんと友人です。お姉さんはハヌルさんの恋人ですか?」

 

「ヘ・シウンよ。ハヌルとは……さっきまで恋人だったわ」

 

「さっきまでって?」

 

「プロポーズを断ったの」

 

手に持つ水の入ったグラスに視線を落とし哀しそうな顔をしているオンニは、プロポーズを断ったことが心から望んで決めたことではないことは明白で。

 

「理由を聞いても良いですか?」

 

さっき会ったばかりの人間に話してくれないかもしれない。だけど、わたしはミョンオンニを放っておけなかった。わたしが高麗時代へ行ったことでオンニを苦しめてしまった償いもあるかもしれない。できることなら現代では少しでもウク皇子様と心を通わせて幸せになって欲しくて、わたしが力になれることなら何とかしたいと思ったから。

 

「……体」

 

 

体?

 

 

「まさか傷があるから結婚できないとか!?そんな時代錯誤なことを言われたんですか?」

 

「え?いいえ。……私は昔から体が弱くて。彼の子供を産んであげられないかもしれないから。だから、私から断ったの」

 

「そんなっ!それだけで愛している人から離れるんですか?」

 

掟だった傷の有る無しでもない、家の力でもない、好き合っているのに離れないといけないなんて納得ができなくて。オンニに向かって訴えるとオンニは哀しい顔で微笑んで言った。

 

「それだけ、じゃないのよ。大事なことよ。ジュヒョク君の友達なら彼が八人兄弟なのは知っているでしょ?ハヌルはよく兄弟の話をするし、兄弟が多くて良かったって嬉しそうにいつも言うの。きっと子供もたくさん欲しいはず。だけど私は彼の子供を一人も産めないかもしれない」

 

オンニはわたしの目を真っ直ぐ見て言った。

 

「あなたは自分の愛する人が欲しいものを、最初からあげられないと分かっていたら。どうする?それでも自分のワガママを通してそばにいるの?」

 

オンニの哀しい目にわたしの心の奥も揺さぶられた。

 

高麗であの子を産み、ジョン皇子様に託してきた。陛下には一言も知らせなかった。知らせないでとジョン皇子様にお願いをした。結局わたしは彼の欲していた家族の愛も、恋人としての愛もあげられず、それどころか愛を知らなかった彼に愛を教えたのに、彼からすべてを奪うというとても残酷なことをした。

 

 

陛下の欲していた愛という気持ちと家族を奪うことを分かっていたら……。

最初から分かっていたら、わたしはどうしてた?

 

 

「でも……。でも、ハヌルさんを愛していますよね?私は大切な人から離れてすぐに後悔しました。一度離れたらもう戻れないかもしれない。いいんですか?」

 

「その方が……彼が幸せになれるわ」

 

オンニの目に溜まっていた涙が一粒、零れ落ちる。

真っすぐに向けられた視線に強い意志を感じてわたしの心は怯み、オンニから視線を避けると、その向けた先。

 

「君じゃないと俺は幸せになれない!」

 

突然の大声にミョンオンニは驚きを隠せず、胸に手を当てていた。

 

「君との子供がいたらそりゃ嬉しいよ!だけど、君がいればいいんだ!子供が欲しいなら養子を迎えったっていい。君がいなければ俺の人生は何の意味も無いんだ!」

 

「ハヌル……」

 

肩で息をするウク皇子様を見上げるミョンオンニ。

 

「ごめんなさい。カンファレンスコールしたんです。ジュヒョクに電話して、ハヌルさんを追加してもらったの。だから今の話、だいたい聞こえてたと思います。あとは、ゆっくり二人で話してくださいね」

 

席を立ち店を出ると、ガラス越しにウク皇子様とミョンオンニが向かい合って座っていた。まっすぐオンニを見つめるウク皇子様と、俯いてはいるけどウク皇子様に手を握られても離すことをしないオンニ。

これからも二人の未来が続くことを祈って歩き出した。

 

 

 

愛する人が欲しがったものを、わたしはあげられなかった。

だから彼はわたしを拒絶するのかもしれない。

 

 

見上げた空には細い月が頼りなく光っていた。

 

 

 

 

 

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9月21日はEXO CHENの誕生日!

생일 축하해クラッカー

先月は綺麗な歌声をライブで聞かせてくれてありがとう!

これからもその素敵な歌声がたくさん聞けることを願っています☆

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

 

 

 

 

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