nabisonyoです。

当ブログにお越しいただきありがとうございます。

こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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サルビア : 家族愛

 

 

サルビア

 

 

「な、何なんだよ?こんな時間に!?何であんたもいるんだよ?」

 

基本的に仲が良いけど、年長者の二人である皇太子様とヨ皇子様に睨むように見られ、さらには部外者のわたしも一緒にプライベートであるはずの自宅、しかも自室に入ってきて、三人から囲まれて委縮しているウン皇子様。

 

結局三人で飲んでいると酔いのせいで盛り上がり、そのまま深夜のタクシーに乗ってウン皇子様の部屋に乗り込んでいた。ちなみに太祖とオ尚宮様はすでに寝ているらしく一階は真っ暗。

 

「ベク」

 

ヨ皇子様が一段低い声を発する。

 

「わー!ごめんなさい!!もう絶対にしないから!ジョンヒョン兄さんが誕生日プレゼント買えってカード貸してくれたけど、どうしても選べなくてゲーム機二つ買ったんだよ!」

 

「お、ま……。だから何か請求が高かったのか!?次やったら許さんぞ!」

 

「え?違うの?じゃあサノ兄さんの部屋にある大事なワインを落として割っちゃったこと?」

 

「ベク!お前あれ割ったのか?スッゴイ高かったんだぞ!」

 

「え!?違ったの?やっべ」

 

部屋から逃げ出そうとするウン皇子様の服を咄嗟に掴み、脚を踏ん張って止めると反動で顔から床にぶつかった。鼻を押さえて悶絶しているウン皇子様の様子に兄二人は冷ややかな目を向けていた。

 

「イッテェ~」

 

「自業自得だ!」

 

二人の兄に声を揃え強く言われて、叱られた子犬のようにシュンとしているウン皇子様を、そんなことよりと宥めるようにして聞いた。

 

「ベクさん。パソコン作業好きですか?ホームページとか作れます?ネット通販のサイトは?」

 

「え?通販?」

 

「そうです。今は自動販売機でも花が売っているので、通販もやってみる価値があるかと」

 

わたしの突然の言葉に皇太子様が声を上げた。だけど簡単な説明で終わったのは、一番大事なことはそれを作れるかどうか、ということだから。

 

「は?何言ってんの?俺の出身校どこだと思ってるんだよ。ホームページぐらいなんてことない。C言語はマブダチさ」

 

ウン皇子様の言葉を聞き、わたしの顔を見て頷いた二人。

 

「ベク、お前に新しい仕事をしてもらいたい。会社のホームページやネット関係を担当して欲しいんだ」

 

「え?マジで!?やる!営業より断然そっちがやりたい!うちのホームページ、ダサいんだよ。もっとカッコ良くしてやる!」

 

目を大きくして喜ぶウン皇子様にわたしの出した案が上手くいきそうだと安心した。でもここからは会社として考えること。部外者のわたしが聞くべきではない。そう思いバッグを持ち直して帰る準備をした。

 

「じゃあ、わたし帰ります。ベクさん、今日は夜遅くに突然ゴメンなさい。こんな時間に失礼しました」

 

「俺も帰るから送っていくぞ。じゃないとジュヒョクに怒られるからな」

 

ウン皇子様のベッドから腰を上げたヨ皇子様。有無を言わさない態度は陛下と同じで、やっぱり兄弟だったんだなと共通点が嬉しかった。夜も遅い時間だからヨ皇子様の帰りが遅くなることも申し訳なくて別のタクシーで帰ろうとしたけど、また「ジュヒョクに怒られる」と捕まえたタクシーに押し込められた。

 

「結局、フレックスの件は言わなかったですね」

 

静かに夜の道を走るタクシーの中で、ヨ皇子様に話しかける。高麗時代だったらしなかったし、したくもなかったこと。だけど、今ならできる。

 

「いーんだよ。兄さんのワインと俺のカードの件でチャラだ」

 

「あははっ。……二人とも優しいですね。兄弟仲が良いのはそれだけで幸せです」

 

「これくらい普通だろ?何だかお前は年寄りくさいことを言うな」

 

「心の中の年齢ならジョンヒョンさんより少しだけ上かも。でも、ただそれだけ」

 

 

高麗で過ごした八年間。短いような長い時間にわたしの人生は激動したから当然と言えば当然で。ただ、成長はしていないのかもしれない。いつまでたっても上手く生きることはできなくて。今、陛下との距離が広がるだけ。

 

 

家の前まで送ってくれたヨ皇子様がタクシーを降りようとしたわたしに向かって言った。

 

「ジュヒョクと、仲良くしてやってくれよ」

 

「え?えぇ。それは大丈夫です。送ってくれてありがとうございました」

 

わたしの答えに微妙そうな顔をしていたヨ皇子様は満足そうな顔に変わり帰って行った。

 

 

 

 

 

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