nabisonyoです。
当ブログにお越しいただきありがとうございます。
こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。
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ペンタス : 願い事
「ジュヒョク。わたし、やっぱりオ尚宮様に会いたい。会ってもいい?」
「もちろん!良いに決まってる!母さんも喜ぶよ」
ジュヒョクと再会してから数か月が経ち、暇さえあれば連絡をして会い、色々な場所に遊びに行き、高麗時代ではできなかった友情を育んでいた。
その間も気になっていた、オ尚宮様のこと。現代でも会えたらと思い、ジュヒョクに聞いてみると二つ返事でOKをもらえた。
そして今日、街でジュヒョクと待ち合わせをし、オ尚宮様の住んでいるジュヒョクの実家にお邪魔することになった。手土産には茶菓(タシク)を持って行く。高麗時代にオ尚宮様と作ったお菓子。一緒に食べることができたらと思って。
「初めまして。コ・ハジンと申します。今日はお邪魔させていただきありがとうございます」
高麗でのオ尚宮様の最後を思うと自分の行動に後悔が増すけれど、緊張したわたしを笑顔で迎えてくれるオ尚宮様を目にしたら、今は幸せそうで良かったと思えた。
「さぁ、入って。ジュヒョクが女の子を連れてくるなんて初めてよ」
「そんなことないんじゃない?」
「そんなことあるわよ!ソヌは色んな子を連れて来るけど真剣じゃないし、ベクやジスが連れて来る子は完全にお友達だし」
「あ~、でもこいつも完全にお友達だし。残念でした」
高麗時代とは違うオ尚宮様っぽくない明るいやり取りに笑いが出て、三人で一緒に笑った。
ジュヒョクのお母様として三人で話すけど、途中で気を利かせたのかジュヒョクが仕事の電話が入ったと席を外した。わたしはオ尚宮様にジュヒョクの小さな頃の話を聞かせてもらうなかで、時々出てくる陛下や他の皇子様たちへも愛情をたくさん注いで育ててくれた様子が分かりすごく嬉しかった。オ尚宮様のおかげでみんなが優しく育っていたから。
その話の途中に『あの子たちが小さい頃はまだ小さな花屋だったの』と言われたので、どんなお花屋さんだったのかを訊ねてみた。
オ尚宮様のご両親の小さな花屋を継ぎ一人経営していたところを、一流企業に勤める太祖と恋に落ちて結婚し、太祖はアッサリと仕事を辞め一緒に花屋をするようになったというものだった。有能な太祖は子供たちがある程度成長すると会社を大きくするべく動き出し、今のワンフローリストになったということだった。
「でも、私は昔のままでも良かったかもしれないわ。あの時はみんなでお店を手伝って、家族が多くて手狭でも楽しく暮らしていたもの。あらっ……ゴメンなさい」
小さなため息を吐き出し、ハッと気づいてわたしに謝った。
「いいんです。家族みんなが仲良くそばにいるのが幸せなことだと思います。大きくなり過ぎると見えなくなることも多いですから」
小さく首を横に振りわたしが応えると、オ尚宮様は微笑んでくれた。
「あなたみたいな娘が欲しかった。男の子もすごく可愛いけど、今はバラバラ。きっと娘がいたらこんな風にお茶して、色んな話をしていたのかもしれないわ」
「わたしもジュヒョクのお母さんが素敵で、本当のお母さんなら良いなって思います」
「じゃあ、私たち仲良くしないとね?今日は夕飯も食べていくでしょ?みんなが揃うもの」
「え?」
オ尚宮様の言葉に疑問の声を同時にあげたのはわたしともう一人。リビングに戻って来たジュヒョクだった。
「兄さんたち来るの?」
「やだ、忘れてたの?今日ジスが帰宅日だから集まる予定だったじゃない。だからハジンさんを連れて来たのかと思っていたわ?」
「い、や~。すっかり忘れていた。まずいな、ハジン。どうする?」