nabisonyoです。

当ブログにお越しいただきありがとうございます。

こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アジュガ : 強い友情

 

 

アジュガ

 

 

ペガ様に腕を引かれながら、何度も陛下を振り返りつつ歩いて行く。

手には陛下から貰ったばかりの紫の花の枝を持っていたけど、本当に今起きた出来事だったのかと不安になる。

 

 

あれは本当に陛下だったの?

陛下だったとしたらペガ様と違って記憶が無いのはなぜ?

 

 

「ヘ・ス。この店で良いか?」

 

ペガ様が指さした方を見るとチェーン店の居酒屋で。断る理由も無かったから黙って頷くと、ペガ様はドアを開けて中に入り個室を指定し、勝手に注文もしてしまった。店員がいなくなると『さぁ』と言って話し出した。

 

「久しぶりだな、ヘ・スよ。僕は今、ワン・ジュヒョクという名前で生きている。ヘ・スの今の名前はコ・ハジンなんだな?」

 

「そうです。コ・ハジンです。ここでは化粧品の販売員をしています。ペガ様は、どうしてここに?」

 

「ジュヒョクと呼べ。どうしてって?この時代の韓国で生まれたからだろう?何だ、高麗から飛んできたとでも思ったのか?まぁ、お互いに記憶があるだけでも驚きだけどな」

 

「あの……あのね。わたし」

 

どう伝えようか悩んでいると店員がお酒を持ってきたことで話が遮られた。二人でグラスを併せて再会の乾杯をして一口飲む。ジョン皇子様に嫁ぐために皇宮を出た、あの日。最後に二人でお酒を飲み交わしたことが昨日のように思い出されて目尻に涙が滲んだ。

 

「あのね、ペガ様。わたし、さっきあの展示会場で高麗時代のことを思い出したの。わたし……一年前に公園の湖で溺れたときに高麗時代にタイムスリップしたんです。気が付いたら、茶美園の浴場だった。現代から高麗に行ったから、漢字も何も分からなかったの」

 

「……ハハッ!ヘ・ス。からかうのはやめろ。つじつまが合うから一瞬騙されそうになったぞ」

 

冗談だろうと笑い飛ばすペガ様に向かって、微かに笑顔を作って返す。わたしが何も言わないからペガ様の笑い顔も段々と真面目な顔に変化した。

 

「まさか、本当に……?」

 

「はい。あの時、茶美園の浴場で本当のヘ・スの魂は亡くなったんだと思います。ヘ・スの代わりに生きたけど、結局あの子の体を傷付けたり、苦しめたりして幸せにしてあげられなかった。自分の心も大事にしてあげられなかった」

 

「……」

 

わたしの話に呆然とした表情のペガ様が持ったまま机に置いている空のグラスに焼酎をそそぎ、自分のグラスにもそそぐ。焼酎が零れそうなグラスを持ち、ペガ様のグラスに小さくカチンッとあてた。

 

「わたしたちの友情に、乾杯。あなたはあの時のわたしにはとても頼りになる友人でした。わたしと同じように自由を愛する心を持っていた。どんなに心強かったか。ペガ様、……ペガ様が友人になってくれて良かった。ありがとう」

 

「ヘ・ス……。ヘ・ス。どんなに辛かったか。分かってやれなくてすまなかった。だが、あの時。お前が僕の友人になってくれて、僕も良かった。ありがとう」

 

グラスを間に二人で微えみ、一気に焼酎を飲み干した。

 

 

それからは現代でのわたしの生い立ちから今までの人生を話し、今のわたしたちは同じ年齢だと分かった。借金地獄に片足を突っ込んだことも笑い話で話し、とても心配されたが(お前らしいとも言われたけど)、わたしの両親や元カレ・元親友の両親たちも巻き込みとりあえず示談で済んだことを話したら安心してくれた。

 

「さぁ、次はペガ様……じゃなくてジュヒョクの番よ。教えて」

 

「僕よりさっきの男性が気になるだろ?ハジン」

 

ウィンクをして言われて、ドキッとする。実際にあの人のことは気になっていた。だけど何かの間違いかもしれないし、他人の空似かもしれないし。本当はすぐにでも聞きたかったけど、あの場では聞けなかったこと。

 

「さて、結局さっきの男性についても含めて話すことになるが、彼は間違いなくソ兄上だ」

 

ジュヒョクの両眼がわたしの視線を捕らえて離さなかった。

 

 

 

 

 

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