nabisonyoです。
当ブログにお越しいただきありがとうございます。
こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。
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1月28日(土) 9:07
朝から雨が降る中、お気に入りの傘をさして仕事へ向かう。歩いている最中に空へ目を向けると濃いグレーが空を覆っている。午後には雪になるかもと思いながら寒さを堪えて仕事場に向かい、更衣室の椅子に向かって一息ついた。
母だと思う人の手を取って逃げたかった。逃げようとしたけど、スッキリとした顔で断られた。『守りたいものを守ったのだから、代償を払わねば』と。
だけどどうしても母と思う人を、母を助けたくて広場に痛む足で膝をついた。
『……は無実です』
何度も訴える。
夜が来ても、雨が降っても許しはもらえない。
闇にまぎれて友がそばに来た。膝をつくのを止めろと言うけど、わたしの心は変えられない。
『何もしないよりはましです』
『そう言うならしかたない。耐えてみろ。薬を用意しておく』
わたしの説得を諦めて去ろうとする友を引き留めて出た言葉。
『もしや……様は。いいえ』
それ以上は怖くて聞けなかった。友もわたしが何を言おうとしたか理解したはず。もし『そうだ』と言われたら。今すぐ気力がなくなりそうで。もちろん友もそれが分かっていて。お互いが飲み込むように口を閉じた。
そして一人で願う。
お願いです!お願い!お願いします!
広すぎる場所に一人で座ることは心が折れそうで、雨の冷たさが母の忠告を無視した自分の愚かさを心に沁み込ませた。
『……では誰も心を許すな。何事も薄氷を踏むように用心するのだ。でなければ命を落とす』
わたしが忠告を受け入れていたら!
……たちと離れていれば。
夜が明けても降りやまない雨の中。母の言葉を無視して自分の気持ちを優先させた、恋心の先にいる青い服を着た男性が通用門に見えた。やっと会いに来てくれた。目が合った。勇気をもらえると思った。一緒に乗り越えられると思った。
だけど、待っていた人の後退っていく姿を見て『わたしの、わたしたちのせいで母が代償を受けるのに。なぜ?』という気持ちと、信じていた人に裏切られたような気持ちで。
心も体も崩れるように手を前についた。
その時、わたしの体に降り注ぐ雨が止んだ。
視線を動かすと黒い外套が、黒い服が見えて、その人が誰なのかすぐに分かった。
あなたは雨から守るようにわたしを大きく包むだけ。
膝をつくことを止めるように促すでもなく。何も言わず。ただわたしの気持ちに寄り添い、一緒に許しを得るために。
あなたがわたしの……。
心の扉の鍵を開けた瞬間だった。
目を開けると頬を伝う熱い涙を感じる。そしてそれと一緒に胸が熱くて。
トクン、トクンと音を立て始めた。