nabisonyoです。
当ブログにお越しいただきありがとうございます。
こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。
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2020年6月
高麗の記憶がないソルファがジョンを好きになった。
当然と言えば当然かもしれない。
愛情を知らなかった今のソルファが、自分を見つけて底辺にいた心を救い出してくれたように思えたのだろうか。それかジョンの、黙っていれば見た目の良い容姿に惹かれたのか、良く言えば純粋とも言えなくもない人の良さに惹かれたのか。
まぁ、理由なんてどうでもいい。だが、厄介な相手を好きになった。
相手はジョンだぞ?いくら現代では血の繋がりが一切なくても、高麗のことから今でも自分の娘だと思っているジョンの気持ちを変えることは難しいな。
外からの視線を感じ始めたのでガラスパーテーションを手元のリモコンで白く変える。赤い目をして泣いているソルファに向かって小さくため息をついた。
「無理矢理酒を飲ませて泥酔したところで既成事実でも作ればいい。ジョンなら死んで詫びる勢いですぐに結婚するだろう」
ソルファに言うと驚きのため一瞬で泣き止んだ目を開き、口をパクパクさせた。案の定『ムリッ!』とスゴイ勢いで返事をされ、思った通りの返事だったから俺もアッサリ引き下がった。そしてペンの先を机にコツコツとあて考える。
「今すぐに出る案は三つだ。一つ目。諦める。二つ目。正面切って好きだから結婚してくれと言う。あいつは筋肉バカだから婉曲に言っても無駄だ。ストレートに何度も言うことが大事だ。三つ目。一番難しいぞ。ソを味方につける。そしてソの圧力でジョンと付き合う。これくらいだな。ま、好きなのを選べ」
結局どれを選んだかは知らないが、俺の部屋から意気消沈して出て行ったソルファ。それと入れ違いで入って来たペガ。
「どうしたんですか?ソルファがここに来るのは珍しいですね」
「あぁ。まぁな。……おい、ペガよ。お前、次にウヒに会いに行くのはいつだ?」
「え?えっと一か月後です。一週間休みをもらって行ってきます。何か締め切りが重なるような仕事が入りましたか?」
「いや。ちょうど大学が夏休みの時期だな。フランスへ行くのにソルファを連れて行ってくれないか?」
「え?ソルファを?いいですが、また何で?」
怪訝な顔で確認するペガに頷きながら返事をする。
「少しでも面白いことは起こった方が良いだろう?」
理解できないという表情のまま、デザイン画を置いて出て行ったペガ。そして携帯を取り出しハジンの名前を押す。数コールの後電話に出たハジン。俺からの電話に不思議そうな声を上げた。
『どうしました?』
「今度ペガがフランスに行くのにソルファを連れて行かせることにしたから、ソを説得しておけ。可愛い子には旅をさせよ、とな」
ハジンとの会話を早々に切り上げ、添え付けの電話の受話器を持ちあげ内線番号を押した。
「出張の件だが、誰が担当するか決めた。一つは俺、もう一つは社長が行く。チケットの手配をしておいてくれ」
さて、ソルファがどう動くかが見ものだな。
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ここでチョット。
‟可愛い子には旅をさせよ”ということわざですが、韓国では‟可愛い子にはムチでもう一度叩け”だそうです確かに意味は近い気がしますがムチでは叩かれたくないですね(笑)
ここまで読んでいただきありがとうございました!