nabisonyoです。

当ブログにお越しいただきありがとうございます。

こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2016年11月

 

ウクの家は窓から明かりが漏れていた。その明かりに気が付いたミョンが門前で躊躇するが、俺はミョンの腕を掴み玄関を開けさせた。ドアが開くと家の奥からウクが走って来て、俺の姿を見て驚いていた。

 

「ゴメンなさい。ウニョンは実家にいますから。私はもう休みます。ヨ皇子様、送っていただきありがとうございました」

 

ミョンは俺に向かって礼を言うとウクの横を通り抜け二階へと上がって行った。

残された俺とウクは視線を交わし、ため息を一つ吐き出したウクが『飲み物でも』と言い、その申し出を受けることにした。車で来ていることを伝えると、酒ではなく紅茶を淹れてダイニングテーブルに置いた。

 

「ヨ兄上。ミョンを送ってもらったようで申し訳ありませんでした」

 

「あぁ、そうだな。せっかく早く帰ろうと思ったのに。聞く権利はあるよな?」

 

「……シウンがソと会ったことを、ヘ・スから昨日聞いたんです。ヘ・スが俺とシウンとム兄上とも知り合いだと言ったので、シウンに高麗の記憶があることを知りました」

 

「それがどうした?記憶があってもいいだろう」

 

「高麗でミョンが逝く時、俺は『愛している』と伝えられなかった。自分の気持ちに気が付いていなかった。悲しませて逝かせたことを隠して、今生では新しい関係を築こうと自分勝手に思っていた」

 

そこまで話したウクは、フイッと視線を宙に向け懐かしむように微かに微笑んだ。

 

「……あの日、病院に立ち寄ったシウンを見たんです。すぐにミョンだって分かりました。また会えた喜びで胸がいっぱいになりました。だけどその日、食堂で先輩の外科医がミョンと見合いを勧められている。理事長の娘だから受けてみようと思うと言っているのを聞いて、すぐに理事長室へ飛び込んで渋る理事長に頼み込みましたよ。見合い相手を俺にしてくれ、一度で良いから会わせてくれと。もう高麗のように後悔したくないんです。でも……」

 

気持ちを吐き出したウクは疲れた顔をし、今度は小さく自嘲した。

 

「ずっと『愛している』と言いたくても、こんな俺が口にしていいのかと思い言えなかった。もっとミョンを幸せにしなければ口にしてはいけないと思っていた。だけど本当はお互いに高麗の記憶があった俺たち。無理矢理結婚した俺を、高麗での俺を、シウンは恨んでいるかもしれない。ヨ兄上……また、俺はシウンを失うんですかね?」

 

「ウクよ。お前は自分を律し過ぎている。それは美徳でもあるが、時と場合によっては罪にもなる。それが今だ。ミョンの記憶があろうとなかろうと、気持ちを言うべきだった。お前は何のためにミョンと出会ったのだ?」

 

視線を下に向け、ただ俺の話を聞いているウクにさらに言う。

 

「またミョンを独りで逝かせるのか?」

 

「そんな気はない!ただ……シウンと共に生きたいだけです」

 

勢いよく顔を上げ、声を荒げて答えるウクに満足した俺は椅子から立ち上がった。

 

「じゃあ、ただミョンに言えばいい。『お前が必要だ』と。あの時と違う時代、違う時間を生きているんだ。お前はやり直すことができるだろう」

 

リビングを出るとそこにはミョンが立っていて、静かに涙を流していた。

 

「次は、美味い紅茶を飲ませろ」

 

 

高麗とは違う時間で時を刻み始めた二人。

そして俺は車に乗り家へと向かう。誰もいない真っ暗な家へ。

 

 

 

 

 

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ウク皇子様のお話でした!

余談ですが…

最後のヨ皇子様のセリフ。「次は、美味い紅茶を飲ませろ」と書きましたが、初めは「良かったな」と書いていたんです。でもヨ皇子様じゃないな~と悩んで変えました。

皆様ならどんなセリフにしますか?

 

皆様、ここまで読んでいただきありがとうございました!

次はどの皇子様でしょうか?

 

 

 

 

 

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