nabisonyoです。

当ブログへお越しいただきありがとうございます。

『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説をメインに書かせていただいています。

ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮下さい。

お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「シウン!大丈夫か?苦しいか?咳は?血は出てないか?」

 

私の両肩を掴み焦った声で捲くし立てるハヌルに私の頭は追い付かず、涙が溢れた顔を上げた。目の前には走って来たのかハヌルが肩を上下させて息をしていた。

 

「……血?」

 

「ああ!どこが苦しい?病院へ行こう!今なら絶対に大丈夫だから!」

 

「ひゃあ!」

 

いきなり私を持ち上げお姫様抱っこをしつつタクシーを呼び止め、強引に後部座席に座り『病院まで!』と声を張り上げる。運転手さんもビックリしてアクセルを勢いよく踏み込んで発進した。

 

「ま、待って!ハヌル!大丈夫、体は何ともないの!病院には行きません!」

 

「ホントに?ホントに大丈夫なのか!?嘘をついてないか?俺はもう君を失いたくないんだ!」

 

「うん?大丈夫。大丈夫よ?……申し訳ありません。運転手さん、行先を変更してください。ハヌル、ゴメン。今日は帰らせて」

 

固い表情で黙って頷くだけの返事をするハヌル。視線を顔から下げると膝の上に置かれたその手は強く握られ小刻みに震えていた。私は何も言わず少しでも落ち着けるようにと、その手に自分の手を重ね、温めて震えを取ろうとした。

ハヌルへの気持ちに向き合った私は初めて自分から彼に近づくと、少しだけ触れるその肩と腕から伝わる温もりと泣き疲れたせいで意識が遠のき、浅い眠りに引き込まれた。そこで見た夢の中で誰かが私に言った。

 

『君を失いたくないんだ。君が俺を受け入れてくれなくても。ずっと傍にいさせてくれ。分からなかっただけで愛だったんだ。感謝の気持ちも、愛だった。安らぎを覚えたのも、愛してたから。だから……二度も、君を失いたくないんだよ』

 

 

 

 

 

「……シウン、家に着いたよ。起きて」

 

小さく肩を揺らされ目が覚めた。

 

「ん、ありがとう。ハヌル。今日は変なところ見せてゴメンね」

 

「部屋まで送る。心配だから」

 

一人でタクシーを降りようとした私の腕を掴み、自分もタクシーから降りて私の家へと向かうハヌル。ドアの前まで来ると鍵を開けるように顎で促すけど、暗証番号を押す時は律儀に顔を逸らしていた。内側に入った私を見ていつもより小さな声で「おやすみ」と言い、ドアは重みで閉じられようとした。その隙間から見えた顔がとても苦しそうだったので思わずドアを押し開いてハヌルの腕を取って家の中へと引き入れた。

 

ガチャン!ピーッ!

 

玄関扉の電子ロックが掛かる音が響いた後、二人の間に沈黙が広がる前に私は言った。

 

「ハヌル。気になる人が、できた?」

 

「……何、言ってるんだ?」

 

「やっぱりそんなに俺が信じられないのか?ハハッ。そうだよな。俺が悪いな。信じてもらえないことをした、俺が悪い」

 

乾いた笑いをした後で、ハヌルの目から一筋の涙が零れた。

いつも笑顔だったり少し意地悪な顔だったりとぼけた顔だったりと、今まで色んなハヌルの顔を見てきた。だけど泣き顔を見たのは初めてだった。

 

「違う!私が自分と向き合えないからダメだったの!だから他に好きな人ができたなら、私はハヌルを応援しないといけないと思って……。コスメショップの可愛い女の子が気に入ったんでしょ?」

 

「ッ!?その話、どこで!?」

 

大きく目を見開いて動揺をするハヌルを見て『やっぱりそうだったのか』と思い、胸の奥がズキンと大きく痛んだ。

 

「今日、コーヒーを買おうとしたら……聞こえて」

 

「……また、君は俺の気持ちを汲んで動こうとするんだな?」

 

「でもそんなこと辞めてくれ。ずっと愛していたんだ。だから、シウン……。俺の前から消えないでくれ。……絶対に失いたくないんだよ」

 

私が握っているハヌルの腕と反対の手を上げ、私の空いている手を掴もうとしたハヌルだけど、手は空中で止まり自信なさげに元の場所に戻ろうとした。

 

「……まだ、私でいいの?」

 

私がそう言うとハヌルの手は動きを止めた。

 

「シウンじゃなきゃダメなんだ」

 

「……私もいつからか分からないけど愛してた。ハヌルの心がいつか私から離れるのが怖くて気持ちに蓋をしていたけど、ずっとずっと愛してたの」

 

「シウン、愛してる」

 

ハヌルがそう言うと、止まっていた手はまた上がってきた。だけどその手は腕ではなくて私の背中に回った。寒い冬の玄関はオンドルがあっても冷気が漂っていて少し寒かった。でも二人が抱き合っていればそれだけでとても温かくて幸せになった。

 

 

 

 

 

時計は5時55分。もうすぐ夜の6時を指すところです。

パソコンのキータッチを止め、机の上を片付け始めます。まだまだ寒さが続く冬ですが、私から出るのは溜め息ではありません。フ~ッと息を吐いたのは仕事の区切りをつけるためです。なぜなら先週から金曜日が特に輝き始めたからです。

 

皆さん、聞いてくださいますか?

聞きたくなくても聞いてください!

 

身長182cm。たくましい体つき。爽やかな笑顔のイケメン。博識、仕事ができる完璧な男。一つ年下だけどそれを気にさせないほどしっかりしていて。

そんな完璧な人が私の彼になったのです。

 

彼氏いない歴=年齢ではなくなりました!

今日はこれから初デート♪

 

「シウン!」

 

時計は6時2分を指しています。

 

「ハヌル!」

 

私は急いで立ち上がり、彼氏になったハヌルに向かって走ります。組んだ彼の腕の温かさから幸せを感じられます。だからこれだけは言っておかないといけません。

 

「絶対、浮気は許さないからね!」

 

私がそう言うとハヌルははち切れんばかりの笑顔を浮かべました。

 

 

 

 

 

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『Angel』を読んでいただきありがとうございます!

このタイトル、EXOの曲からもちろんお借りしています。原題?韓題?って言うのかな?私はすごく素敵だと思っています。

『너의 세상으로』と言い、直訳すると『君の世界で』となるそうです。

天使であることを捨てても、愛する君がいる世界に暮らし、君を守りそばにいられるここが天国だ。という内容の歌詞です。

とても好きな曲です。機会があればぜひ聞いてみてください!

 

 

 

 

 

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