nabisonyoです。

当ブログへお越しいただきありがとうございます。

『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説をメインに書かせていただいています。

ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮下さい。

お許しいただける方は少しでも楽しんでいただければ幸いです。

 

今回は3話の予定をしています。

1話目は良い所で区切れず長めです。申し訳ありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「今日も、定時で上がるの?」

 

「ああ」

 

仕事の合間に飲み物を買うための自販機が一台。ベンチが二本。会社での小さな憩いのスペースであるそのベンチに座って話している男女がいた。少し呆れた声と不服そうな声。一人は白い肌をした髪の長い綺麗な女性。もう一人は少しだけ瞼が重そうに見えるがとても整った顔をした男性。

 

「毎日遅くまで仕事を頑張ってるんだし、たまには金曜日も遊べば良いじゃない。他の人と色々遊ぶのも良いと思うわよ」

 

「……」

 

「フフッ。この間同行した時に、とっても可愛らしい女の子に目が釘付けで何度課長が呼んでも聞こえてなかったじゃない。だって興味ないでしょ?あのお店にある商品……」

 

静かな休憩スペースに女性の声がよく通った。

 

 

 

 

 

「はぁ~」

 

時計は5時55分。もうすぐ夜の6時を指すところです。

冬の週末である金曜日。寒さから逃げるように周囲の人たちはさっさと仕事を終わらせて帰ろうとしている中、私だけ溜め息をつきます。当然残業もしたくないし、私もすぐに帰りたいです。仕事も急ぎのものがあるわけではありません。帰ろうと思えば帰ることができます。じゃあ、なぜ溜め息が出るのか……というと理由があるのです。

それは大学時代から続いている“あること”のため。

 

皆さん、聞いてくださいますか?

聴きたくなくても聞いてください!

 

 

 

そう。ことの始まりは私、へ・シウンが大学二回生になった時でした……。

 

当時私は「オルチャン(可愛い・美人)」と呼ばれ、恥ずかしながらも華の女子大生生活を送っておりました。声を掛けて来る男性もほどほどにいて、遠巻きに見られているのにも気が付いていました。こんな風に言うと性格が悪いと思われるかもしれません。だけどそれはあまりに分かりやすい視線だったので気が付かない方がおかしいくらいでした。

一回生の時は授業に課題にと環境の変化に戸惑いながらの生活を送っていて、二回生になり『さぁ!素敵な彼でも見つけよう!!』と思っていたところだったのです。

 

映画を観ることが好きで映画サークルに入っていた私は、新入生が溢れる大学構内のメインストリートでサークルメンバーとチラシを配って勧誘をしていました。

そう!それが間違いだったのです!!

 

「映画サークルです。興味があればどうぞ」

 

営業スマイルとともにチラシを男性の前に出した時、私の出した手。いえ、正確には手首を掴まれました。そしてこう言われたのです。

 

「名前、教えてください。俺と付き合いましょう!」

 

「は?」

 

シャツを見ていた私は視線を上げると、眼鏡を掛けてまだあか抜けない顔をした男の子が、綺麗な白い歯を見せて満面の笑みを見せていました。

 

「ちょ、冗談でしょ?あなた新入生よね?年上を揶揄わないで!」

 

ここは韓国。年上を敬うことが当然です。だから年上であることをアピールして掴まれている腕を振りほどこうとしても、優しく、でもしっかりと握られた手は振りほどくことができません。

 

「ヨナ!ヨナ!助けて!この人どうにかして!」

 

親友のヨナに助けを求めると急いで来てくれて私たちの間に入ってくれました。ただ、ヨナの顔を見たその男の子は数秒動きを止めてから結構なキツイ目をしてヨナを睨んだのです。刺すような鋭い視線にさっきの満面の笑みと真逆で一瞬ゾクリとしました。

 

「あなた、この人とホントに仲が良いんですか?この人俺の彼女だから傷つけたら許しませんよ」

 

低い声でヨナに牽制をしつつサラッと変なことを言うその男の子。あまりの牽制にヨナは気圧されましたが、すぐに持ち前の勝気な性格で持ち直し私に聞きます。

 

「は?シウン、彼ができたって何?こんな子?あの言い寄っていたカッコイイ先輩じゃなくて??」

 

「彼じゃないし!助けてよ!」

 

「その先輩はダメですよ。シウンさんは俺の彼女です」

 

「違います!彼女になんかなりません!それに何で私の名前を知ってるのよ!?」

 

「絶対に彼女になりますよ。名前は今そっちの人が呼んだからです。とりあえず映画サークルですね?シウンさんが入っているなら俺も入ります。俺、ファンボ・ハヌルです。これからヨロシクお願いします。シウンヌナ」

 

自己紹介をしたハヌルはニコッと爽やかな笑顔を私に向けて言ったのでした。

 

 

 

それからというもの、ハヌルは毎日私にまとわりつきそばにいました。困惑する私をよそに、当のハヌルはすぐに大学にも慣れ、さらにはあか抜けてカッコ良くなり。最初は敵対していたヨナとも姉弟なのか、それとも兄妹なのかというくらい、いつの間にか仲良くなっていたのです。

そうこうするうち、常に私のそばにいるハヌルのせいで私に近寄って来る男性はいなくなってっしまったのでした……。

 

それは大学を卒業し、社会人になってからも同じで。

ハヌルが兵役に行っているのでやっと静かになり彼氏ができると思っていたら、休暇のたびに私の会社に来たのです!

あの軍服のままで!

プラスして180cm越えの高身長、引き締まった体、そして整った顔。それはもうとても目立ちます。それだけでは足らず、私を見つけると手を大きく振り、さらには大きな声で言うのです。

 

「シウン!会いたかった!」

 

いつもはシウン“ヌナ”とつけるくせに、その時だけはヌナを付けないんですよ。まるで恋人であることを見せつけるように。でもそれはハヌルの計算通りなのか、「シウンさんは兵役中のカッコイイ彼がいるもんね」と、私がいくら違うと言っても皆さん聞いてくれませんでした。

思い出しても泣けそうです……。

 

 

ここで話は飛びますが私が働いているこの会社、意外にも大企業です。内勤の事務職として働きだした私はこの就職難の韓国でこんな大企業に入社できとても運が良かったと思っています。三年も経てば一通りの仕事もできるようになり、後輩指導も任されるようになりました。そんな四年目のまだ寒い春の日。私の前にまたっ!

 

「シウン。今日から仕事でもヨロシク」

 

最初に出会った頃より爽やかさが増し、笑顔を振りまくハヌルが現れたのです!

ピッタリとしたスーツを着て、社会人一年目なのにその完璧具合に周囲の女性社員は黄色い悲鳴を上げました。そして意外に真面目な性格と、仕事の正確さ、博識さで男性社員からもすぐに認められました。

 

大学の頃、ハヌルは毎日私の元に来ましたが、さすがにお互い忙しい仕事をする身でそんなことはできません。だけど決まって毎週金曜日、どうやってか定時には私の元に来るのです。そして私の残業に付き合ったり、映画や食事などアチコチ連れまわされたりするのです。

だから今日もハヌルは私の元に来るはず……。

 

はぁ~。

 

溜め息が出ます。

現在、彼氏いない歴=年齢です。泣きそうです。

 

あ、ホントに涙が出てきた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここまで読んでいただきありがとうございます!

今回は第八皇子、ウク様のお話です。

お名前はもちろんウク役、カン・ハヌルさんからお借りして、ファンボ・ハヌルと付けました。

シウンはミョンさん役、パク・シウンさんからお借りして、へ・シウンと付けました。

ウクを好きになった少女時代のようにチョットお転婆な感じをイメージしています。

 

そしてちゃっかりシウンの親友役でヨナ様も出しました。きっと時代が違えば仲良くできるんじゃないかな~?と願って。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

 

 

 

 

 

にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村