nabisonyoです。

当ブログへお越しいただきありがとうございます。

こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説をメインに書かせていただいています。

ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮下さい。

お許しいただける方は私の拙い文章ですが少しでも喜んでいただけたら幸いです。

 

今回は2話で終わる予定のお話です。

※事故が起こるお話です。ご不快な方はご遠慮ください。

  また医療従事者でも事故について詳しい者ではありませんので間違いがあってもお許しく  

  ださい。

 

では、ム皇子様になります。

どうぞ宜しくお願いします!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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外は雪がチラチラと舞う寒い日だった。

愛する人が体を張ってこの世に産んでくれた命。頑張って泣く可愛らしい声。母親の胸に抱かれて安心したのか泣き止み、小さな口で大きなあくびをして目をパチパチとさせた。僕はその小さな小さな体をこの手に抱いた時、二度とこの子を傷付けないと心に固く誓った。

それは今から十年前のことだった。

 

 

 

 

「アッパ!今日のケーキとっても美味しかったね♪」

 

「そうだなぁ。オンマがソヒはあのケーキが好きだろうと言ってお店にお願いしてくれたんだぞ。良かったな」

 

後部座席のジュニアシートに座り、嬉しそうにさっきまで食べていた料理やケーキの話を繰り返すソヒ。今日は娘のソヒの誕生日で外へ食事をしに行った帰りだった。

 

「ソヒ、帰ったらプレゼントもあるからね。楽しみにしていて」

 

「オンマ!ホントに!?何かな~?楽しみ!」

 

「サノ、運転に気を付けてね。今日は道が凍ってるかもしれないわよ?」

 

例年より早く降り出した雪が明け方からチラチラと空を舞っていた。日中に太陽の光を浴びて解けたそれがまた夜になり雪が降り始めるほどの冷気で凍り始めていた。

そんな道路を運転する僕の頭に少しだけ体を寄せ注意を促す妻であるジウン。

 

「あぁ、もちろん気を付けるよ。だってこの車には大事な王妃様とお姫様、あとはすぐにでも出てきたいって感じの皇子様がいるからね」

 

念のために愛する妻もソヒと一緒に後部座席に乗せ、万が一でも事故が起こらないように慎重に運転を続ける。

 

「ホント、いい旦那様になってくれたわ。ありがと、サノ」

 

「うん……」

 

 

ソヒが産まれるまで僕はいわゆるワーカーホリックだった。

前世のワン・ム(王武)として正胤や皇帝という重責や反対勢力への脅威、陳情書に対応していた量を考えれば全然働いていなかったので、自分ではワーカーホリックだと思っていなかった。

当時は大学卒業と同時に立ち上げた会社が上手く周り、ソコソコ名も知られるようになっていた。会社のトップとして仕事をし、働いたらその分手応えがあることに面白くも感じていたので、むしろもっと働きたいとさえ思っていた。

学生時代から恋人として僕を理解し、支えてくれた妻であるリム・ジウン。ジウンはそんな僕を咎めることも愛想をつかすこともなく、いつも「体を大事にしてね」と僕を笑顔で癒してくれた。

そんな妻でもソヒを妊娠しつわりで思うように動けない日々もあったのだろうと、二人目を妊娠した姿を見て初めて理解した。

そんなことにも気が付けなかった僕が変わったのは、娘のソヒが産まれたからだった。

 

腕の中で小さな命が僕の手の中で一生懸命生きようとしていた。

 

それは紛れもなくあの時手放そうとしたあの子だった。

 

 

 

『早く行け!行かぬと国が滅びる!』

 

『陛下!父上!父上!』

 

泣いて婚姻を嫌がる娘を契丹へ嫁がせようとした。あの時の僕はそれが最善だと思っていた。僕も娘も国も守ってもらえると……。

 

 

 

「サノ。チョット車に酔ったみたい。お水を買ってきてもらえる?」

 

「ん?あぁ、もちろん」

 

近くにあったコンビニの前に車を停め、一人店の中へと急いだ。ジウンの水だけ買って戻ったらソヒも何か欲しかったと言われることを見越して、商品を手に取りレジで支払いをした。

コンビニを出ると車内から僕をみつけた二人が手を振っているのに応えて、買ったばかりの水とイチゴウユが入ったビニール袋を持ち上げ、笑いあった時だった。

右折しようとした乗用車が凍結していた道路にタイヤを取られ、滑って行くのが視界に入った。そしてその滑った先にあったのは、僕の大事な人たちが乗っている車だった。

 

スローモーションのように車が動き、僕の車の正面へ追突した。

一時停止した画面のように時が止まり、鳴りやまないクラクションと周囲の騒ぐ声に我に返った。持っていたビニール袋を放り出して車に走り寄り大声で名前を呼ぶ。

 

「ジウン!ソヒ!」

 

追突されて歪んだ車。後部座席のジウンはソヒを抱えて動かず、ソヒの顔の半分は血で真っ赤になり激しく泣いていた。後部座席のドアを開けようとしても開けれず、運転席側へと移動するがやはりドアは開けられなかった。たまらず拳でガラスを叩いても割れず、近くに落ちていた石で叩くが傷を付けるだけだった。何か無いかとコンビニに戻り落としたビニール袋を拾い車へ戻った。そこに大きめの石をいくつか入れ思いっきり振りかぶり窓ガラスへぶつける。やっと割れたガラスの破片を窓枠から落とし上半身を車体に入れた。

 

「ソヒ!大丈夫か?こっちに来れるか?」

 

両腕を広げて抱き寄せようとしてもパニックに陥っているソヒはシートベルトすら取ることができない。

 

「アッパァ。痛いよ。オンマが、オンマァ」

 

「ソヒ、大丈夫。大丈夫だ。オンマも平気だ。アッパがいるぞ」

 

何度も何度も伝えて号泣するソヒを宥めた。そのうちサイレンが周囲に鳴り響き、気を失ったジウンと血を流すソヒを救急車に乗せて病院へと向かった。

 

ストレッチャーに乗せられ処置室に向かう二人を見送り病院の廊下で一人佇む。手には自分のものかソヒのものか判別できない血がベットリとついて大事な人を失う恐怖を膨らませた。

 

 

 

 

 

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途中で失礼します。

今回の主人公の名前はオ・サノとしました。

ワン・ム役、キム・サノさんからいつも通りお名前をお借りして、苗字は第二正妃の荘和王后呉(オ)氏から。

ソヒちゃんはお姫様役(慶和宮夫人林(リム)氏)のチャン・ソヒちゃんから名前をお借りしました。

今回悩みに悩んだのが奥さんの名前!

架空の人物を作るのが本当に苦手で。いっそ名前を出さないでおこうか?とも最後まで考えましたがネットに載っていた韓国で老若男女に好かれる名前「ジウン」を使いました。だからリム・ジウンさんになりました~。

話を作るより名前を作る方が苦しかったです(笑)

 

では来週もう一話、宜しくお願い致します!

 

 

 

 

 

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