nabisonyoです。

いつも当ブログへお越しいただきありがとうございます。

『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。

ドラマのイメージを壊すなどご不快に思われる方はこちらでご遠慮ください。

お許しいただける方は私の拙い文章を少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。

 

 

今回は2話で終わるお話です。どうぞ宜しくお願い致します。

ワン・ヨver.です。

 

 

 

 

 

 

 

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「……ヒョン」

 

「……ん……」

 

温かい声が聞こえる。ずっと求めていた、上辺だけではない心がこもった温かい声。

 

幼い頃からいつも感じていたのは『完全無欠でなければいけない』ということだった。皇帝になるために他者よりも抜きん出ていなければいけないという重圧だった。そうでなければ求めている愛情が手に入らないことを知っていたから。

 

父である王健(ワン・ゴン)の第一正妃には子供がいなく、第一皇子である長兄のム(武)兄上の母は第二正妃だったが実家の力は弱かった。第三正妃である我が母は実家の力も強く、第二皇子であるテ(泰)兄上を次期正胤として期待していた。そのテ兄上が急逝した日、父は国のために婚姻を行った。

 

権力も父の愛も、両方欲していた母。

テ兄上が亡くなったこと。父に新しい妻ができることに取り乱し、第四皇子である弟のソの顔に傷を負わせた。血を流し泣きわめくソですら父の婚姻を辞めさせることはできず、ましてや傷ができたことで確実に皇位から、いや皇宮から遠のいた息子を母は簡単に捨てた。

 

そう、子を捨てたのだ。

 

それがいつ自分の身に降りかかるのか分からないという恐怖。母が気に入るように過ごすことで何とか自分を保っていた。妻に迎えた者たちもいかに皇位へと近づけるかを考えた選択であり、私の恋情などこれっぽっちも無かった。頂点を求める自分にそれは当然のことだった。それなのに私の子供は後百済の血が混じると言いジョンへ譲位を進めてきた母。

譲位を進めてくる母は私の子供が皇位に付けば妻側の親戚が口を出すと考え、扱いやすい素直なジョンを皇帝にすることで、自分が権力を握り国の頂点に立ちたいのだということが容易に想像できた。

 

権力を求める者は娘だけでなく、息子でさえ自分のために道具として使うのだ。

母は私を人としてさえ見ていなかったのかもしれない。汚い手も厭わず皇帝という地位を手に入れても、母の愛は私にも注がれていなかった……。

道具でさえ長年使えば愛着というものがあるだろうに、それすら貰えていなかったのではないか?

 

 

 

『お前のせいだ……』

 

『兄弟を殺してでも皇帝になろうと決めたのはお前がソの顔の傷を隠したからだ。私の座を奪ったせいだ』

 

『お前のせいだ。お前が邪魔をしたせいで』

 

 

 

「お前のせいだ……」

 

ヘ・スに向かって言った言葉。あれは確かに間違いではなかった。

だが、正しくもなかった。

 

 

ヘ・スがいたからソは愛を知り、私は母の愛がないことにようやく対峙することができた。

一方は本物の愛を受ける喜びと失う恐怖を知り、一方は偽物の愛を信じていたが愛されていなかったという絶望を知った。

 

知らないままだとしたらどんなに空しい人生だったろう。

 

 

ヘ・スの『せい』……ではなく。

ヘ・スの『おかげ』だった。

 

 

物事の表と裏。似ているようで全く違う愛を知った私とソ。

愛されることを知ることができたソは。

今、幸せなのだろうか?

 

 

 

 

 

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