nabisonyoです。

当ブログへお越しいただきありがとうございます。

初めての方、いつも読んでいただいている方、改めてお礼申し上げます。

 

このブログは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』のその後の二次小説を書かせていただいています。

ドラマのイメージを壊すとご不快に思われる方はこちらでご遠慮ください。

お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

 

 

今回から『麗~』本編のその後『月の光の中で』とは別ver.を書かせていただきます。

またしばらくお付き合いいただけますよう宜しくお願い致します。

(基本一話が短いです。年内には終わると思います)

 

 

 

 

※※※

今回のタイトル、『Butterfly Effect』とはバタフライ効果(「ブラジルで蝶が羽ばたくとテキサスでトルネードを引き起こすのか」という小さなことが大きな事の引き金に繋がる……という考えのものです)からと、EXOの大好きな曲からいただいています。

 

では余計なことを書きましたが、楽しんでいただけると嬉しいです!

 

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ヘ・スよ……。

 

 

陛下が。狼犬と呼ばれたあのソ兄上が、お前の骨壺を抱え、人目もはばからず悲しみ泣いているぞ。

 

ジョンがお前の簪を持ち、伝えられなかった思いと逝ってしまった哀しみで泣いているぞ。

 

ウク兄上も哀しむだろう。

 

ウォン兄上でさえお前の死を心の奥底で哀しむだろう。

 

そして私も、お前という唯一無二の友を失った今、心には風穴が開き一筋の哀しい気持ちが吹いている。お前が逝ってしまったことが嘘のようで、どこかからひょっこりと笑顔で出てくるような気がする。

 

ヘ・スよ……。

 

父上やム兄上、ヨ兄上、ウン兄上、スンドク、ミョン姉上、オ尚宮、チェリョン。そして……ウヒと。皇位争いも身分も関係ないそちらで心穏やかに過ごしているのだろうか?

 

ヘ・ス、お前は私たち兄弟に多大な影響を与えた凄い女子なのだぞ。分かっているのか?いや、きっとお前は分かっていないのだろう。

自分の意志を貫き、人の心に寄り添う。そんなお前を皆が好きだった。皆がお前を思い哀しんでいる。お前はどうかそちらであの頃の笑顔を取り戻し、幸せになってくれ……。

 

 

 

 

 

ー二年後ー

 

今日はヘ・スの三回忌だ。もうそんなに時が過ぎたのか……。

 

 

牡丹の花が咲きほこる露台で独りヘ・スへの弔い酒を飲んでいる。ゆっくりと、一口ずつ。ヘ・スを思い出しながら。思い出に浸りながら。

 

 

お前が逝って、もう二年……。

 

 

哀しみと一緒に酒を一口、また含む。

感傷に浸る私を癒すかのように牡丹の花が風に揺れ、微かな香りが鼻をくすぐる。

 

 

そういえば……ヘ・スとミョン姉上の弔いをこの露台でよくしたな。どちらかが心淋しくなると誘わなくてもヘ・スがここに来て、ミョン姉上の思い出を二人で語り合った。

あの時、泥酔したお前は言っていた。

 

 

その光景を思い出し、思わずフッと笑いが漏れる。

 

 

『千年過ぎたら身分の上下なんて一切なくなります。何が皇帝よ!』

 

 

そんな大それたことを言っていた。あの時は慌ててヘ・スの口に饅頭を入れたな。それでもお前は続けた。発言を止めなければと思いつつ、私はその先が聞きたかった。

 

『心の行くままに生きて』

 

あの言葉に私は心打たれた。皇子という身分にあり当然民からは一線を画きつつ、その皇子たちの中では母が正妃でも滅びた国の皇女なので弱い立場にいた自分。逃れられないしがらみから自由でありたかった自分を、その一言が解き放ってくれたように感じた。

 

 

……いや、待て。

何か、見落としている気がする。ヘ・スが言っていたのはそれだけではなかった……。

あの時、私自身も相当酔っていたが、今更ながら記憶が鮮明に戻ってくる。

 

『空から降ってきてこんな所で生きている人もいる』

 

そんな風に言っていなかったか?

空から?降ってくる?

 

 

『千年後は身分の上下もない』

 

『空から降ってきてこんな所で生きている人もいる』

 

 

 

見落としていた何かがカチリとはまった気がした。

 

 

もしや……お前は本当に千年先から私たちの時代に来たのか?

 

まさかっ!そんな馬鹿げた考えがあるわけがない。

だが……ヘ・スは茶美園の浴場に現れた後に頭を打ち記憶を失ったという。本当に?本当に記憶を失っていたのか?

あの時からヘ・スの性格が変わり、皆を魅了し始めた。

ジモンとは異なる星への詳しさ。時々分からない言葉を言っていた。最初に会った頃は記憶をなくしたと漢字も読めず、茶美園では不思議な文字を使っていたともソ兄上はおっしゃっていた。

それだけでなく、身分の上下を考えず人の内面を見て寄り添う心。己の意志を貫くためには王命にさえも背く心の強さ。

国中を巡ったがお前は高麗のどの女子とも全く違う。己を持っている女子だった。

 

だから……。

身分のない世の人間だから、あのように皆に接していたのか?

 

 

疑念が確信に変わっていく……。

 

 

ヘ・スよ、お前は本当に逝ってしまったのか?それとも元の時代に戻ったのか?

私にはお前が死んだとは到底思えない。

もし、元の時代に戻ったのならば、ソ兄上のことを思い悲しみ暮れているのではないか?

 

我が友よ。

 

千年先の世に戻ったお前の心が少しでも軽くなるようにしよう。

 

 

私のこの答えが正しいかは千年後に分かるであろう……。

 

 

 

 

 

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※韓国では三回忌などは考えていないようです。毎年、故人の命日・旧正月・秋夕などでチェサという法事(祭事)を行うみたいです。

 

※2020.10.9 少し修正しました。

 

 

 

 

 

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