nabisonyoです。

当ブログへお越しいただきありがとうございます。

 

『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』のその後の二次小説を書かせてもらっています。

ドラマのイメージを壊すとご不快に思われる方はこちらでご遠慮ください。

お許しいただける方は私の拙い文章ですが少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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俺たちは公園を出て駐車場へ向かいゆっくりと歩いた。急に手が引っ張られたので振り返ると、真剣な表情をしたハジンが立ち止まっていた。どうしたのだろうと思っているとハジンが言った。

 

「もう一つ、大事なお話があります……」

 

その真剣な表情を見て、彼女の言いたいことが分かった気がした。だがあえて俺はハジンの話を一度保留にした。

 

「明日は仕事、休みだろう?俺も夕方からだしうちへ来い。ゆっくり話そう。もう、離したくない。一緒にいよう」

 

そうハジンを誘った。

 

 

俺の家に来たハジン。緊張している様子なのは、これから話したいことのせいだろう。落ち着かない様子だった。

 

コーヒーを淹れ、ソファに座るハジンの隣に俺は座った。緊張しているハジンを落ち着かせようと、肩を抱いてポンポンと軽く叩いた。

その行為に気持ちを押されたのか、ハジン、いや。ヘ・スは隠していることがあると声を震わせて話し出した。

 

「わたしが出宮した時、陛下の龍種がお腹に宿っていました。わたしの心が弱く、あなたとの子を失いたくないということばかりに目が行き、何も告げずに逝きました。ジョン皇子様は陛下とわたしの子を、ご自分の子として育ててくださったはずです。わたしはあなたから子を奪い、親の幸せを、家族を奪いました……」

 

ヘ・スの目から涙が溢れ、頬を伝う。

 

謝るヘ・スに俺は言った。

 

「……ヘ・スよ。いいのだ。子がいることは知っていた」

 

その言葉にヘ・スは驚き顔を上げた。

 

そんなへ・スを安心させようと、言葉を選びつつ私は話した。

ヘ・スの墓参りをするジョンと幼いソルファに会い、私たちの間に子がいるのを知ったこと。それからは伯父として成長を見守ったこと。

あの時、皇宮でヘ・スが懐妊したと分かっていたら、あの子は産まれていなかっただろうということ。あの子は幸せに暮らしたこと。

 

「お前のおかげだ……。命を削るのを分かっていながら子を産み、行く先を案じるのはさぞ心細かっただろう。辛い思いをさせ、すまなかった。そして、私の子を産んでくれて、守ってくれて……」

 

「愛してくれて、ありがとう……」

 

ヘ・スは高麗のソルファが幸せに暮らしたことに涙した。

 

むせび泣くヘ・スを抱きしめ背を撫でていると、彼女はいつのまにか泣き疲れて眠ってしまった。私は宝物のようにヘ・スを抱きかかえベッドに運び、二人で横になった。

 

何度手紙を書いても来ぬ男を待ち、子の幸せを案じながら逝ったヘ・スはさぞ心残りだったろうと思う。そんな思いをさせた自分自身が恨めしい。

『心が弱い』と言ったヘ・スが、愛する者たちを守るためにどれだけ心を痛めただろう。それが弱さではなく強さだということを教えてあげたい。

 

玉座に座り訃報を受けてから、『まさか』という思いと『嘘であってくれ』という祈りを胸に三日三晩寝ずに馬でヘ・スの元へと走った。それでも亡骸を見ることはできず、荼毘に付され静かに骨壺に納まるヘ・スとしか会えなかった。

あれからどれほど後悔したか。ヘ・スの骨壺を抱いて泣いた時には考えられないほど幸せを今は感じ、彼女を胸に抱きしめ眠りについた。

 

 

 

翌朝、目が覚めると目の前にあるハジンの大きな瞳と視線がぶつかった。目の前に愛する人がいるという幸せを噛み締めて俺は言う。

 

「……おはよう、ハジン」

 

「おはようございます。ジフ、さん?」

 

ワン・ソとワン・ジフが一緒の人物だと分かっていても慣れないのだろう。恥ずかしそうに俺を呼ぶハジンがたまらなく愛おしい。

 

 

『ワン・ソ』であり『ワン・ジフ』の最愛の人、『ヘ・ス』であり『コ・ハジン』

 

 

永遠に離さない。

 

 

魂が呼び合う

 

  『私』の

        人。

  『俺』の

 

 

 

 

 

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ワン・ソ/ワン・ジフver.は今回で終わりとなります。

『月の光の中で』を今までお読みいただきありがとうございました。

読んでいただいた皆様、私に新たな楽しみを増やしてくれた『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』というドラマに感謝しています。

 

※追記 2021.3.14

先日初めて携帯からこの投稿を確認したところ、最後の「人。」部分にスペースが無く表示されていました。いつもPCからの投稿・確認だったので気づくのが遅く(PCは問題なかったので)、携帯から読んでくださっている方には大変申し訳ありませんでした。修正完了しました。

 

 

 

 

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