カシャア!
カーテンを開けると網膜を刺激する陽光が突き刺さった。
天候は晴れだ。
しかも雲ひとつない快晴。
「ミーンミーンミーン!」
朝も早くから蝉の野郎共が騒いでいる。
夏の朝。
今日も暑くなりそうだ。
「今日は朝飯食べてくわー」
台所で朝食の支度をしている母に向ってそう言った。
すると母さんは
「今日は珍しく食べるのかい!」
と文句交じりに茶碗に山盛り一杯盛ってくれた。
「おいおい、こいつぁ、ちょっと盛りすぎじゃないかぁ?」
「イヤなら食べなくてもいいんだよ!」
これだよ‥。
この母親も全然変わってねーな。
「まぁ、久しぶりの家族水入らずだ。
楽しくやろうじゃないか?」
ズズズっと塩紅茶をすすりながら、
親父が言う。
相変わらずマイペースとかいうか何というか…。
ま、このおやっさんが居なかったらウチは駄目だったんだけどな。
アンタはやっぱり大黒柱だったよな。
とつくづく思う。
「ごちそーさまー。そんじゃちょっくら出かけてくらー」
「巧!どこへ行くんだ?
久しぶりに将棋の相手でもしてもらおうと思ったのに。」
「あー、悪い。また今度な!」
「お前、何しに行くんだ?こんな朝早くに。」
「うーん。
朝のデートってヤツか?」
バタン!
生前はあんまり習慣でなかった朝食もしっかり食べたし、
準備はOK。
約束の公園へと走る。
公園のベンチにうつむき加減で座って
誰かをひたすら待つ背中を見つけた。
「待たせたな。
元気だったか!?」
(完)