ザァァァァッ!!
―朝から大雨だった。
昨日のカンカン照りが嘘のようだ。
この雨といい、昨日の事といい何だか気分は滅入るばかりだ。
結局、あの後、みーは公園に戻ってくることはなかった。
そしてシトシトと雨が降り始め、家に帰る他なくなったワケで。
雨は止むどころか天候は悪化する一方。
俺の心も雨模様ってか。
何より、このまま雨が降り続けるんじゃないか。
そして同時に彼女も二度と目の前には現れない、そんな気がした。
チャララーララー♪
‥電話だ!みーか!?
慌てて電話に出るとそれはみーではなかった。
「おぉ、巧。起きてたか。
父さんだ、元気でやってるか?」
九州に単身赴任してる親父からだった。
「まぁ、ぼちぼちだな。」
「何だ、元気ないじゃないか?
まさか失恋したとかじゃないだろうな?はははっ」
「…」
「おい、図星か!?
父さんも昔は何度も失恋を味わったもんだ。
失恋は人を大きくする。お前も頑張るんだ。」
「勝手に話進めんなって!
‥べ、別にフられたワケじゃないよ。」
「じゃあ喧嘩でもしたのか?
お前は少々つっけんどんのトコがあるからな。
大方、相手のプライバシーに必要以上に踏み込んでしまったんじゃないか?」
「そうかもしれない‥。」
「反省しているのなら、
溝が深くならない内に謝れよ?
父さんにだって出来たんだ。頑張れ。
お前は私の自慢の息子なんだからな。」
「止せよ!照れくせー!」
「ははは。
いつもの巧に戻ったな。
そうだ、電話の用件なんだが
今度の日曜日、
父さん東京に帰ることになったから、
母さんにそう伝えておいてくれないか。」
「何だよ、直接、母さんに言えばいいのに。」
「まぁ、お前の声が聞きたかったというのもある。
悩める年頃でもあるしな。ははは!」
「‥ありがとな。」
「…照れくさいのはお前の方だ。
それじゃ、父さんはそろそろ仕事に戻るからな。」
「あぁ、分かった。」ピッ。
『反省してるなら謝れ』か。
着信履歴を探り、早速みーに電話を掛けた。
トゥルルルル。
トゥルルルルル。
出ない。
みーには
本当にもう会えないのだろうか。
(続く)