下記の大前さんに加えて、労働生産性はドル換算であり、通貨レートによって
変動しやすく正確な国別の労働生産性の比較は難しいことを付け加えておきます。
日本の労働生産性は、OECD加盟30カ国中19位。しかも主要先進7カ国間では最下位。そんなデータがあるのをご存じ? 労働生産性というのは、労働者1人あたりが生み出す付加価値のことで、日本人は労働しても生産性が低いというのだ。こんなにも働いているのに…最下位だなんて、にわかには信じ難い話。それとも、僕らが無能ってこと?
「発表時もお叱りをいただいたのですが、労働者が怠けているとは、決してこのデータだけでは言えません」(財団法人社会経済生産性本部・主任研究員・木内さん)
日本は製造業の労働生産性が高く、こちらは米国に次ぐ2位。しかし、サービス業はパートやアルバイトの増加で就業者が増えたわりに生産性が伸びていないため、結果として日本全体で見ると、労働生産性が低くなっているという。
「安い外国製品に対抗するため、年々効率化される製造業とは違い、サービス業は国内向けの産業ですし、効率化が図りにくいのです。要するに労働者一人一人の問題だけではなく、日本の産業構造にも問題があるのです」(同)
さらに、一橋大学経済研究所の深尾京司教授はこう指摘する。
「そもそも労働生産性で判断すること自体に、無理があります。サービスというのは、単純に国際比較できるものではありません。質も考慮されるべきもの。
(これは非常に面白いですよね。例えば、日本のマクドナルドとアメリカのマクドナルドが同じ商品を提供していたと仮定しても(実際には、大きさや味など多少違うのだが)、その他に、店舗の清潔さ(これはある程度地価などに反映されるが)、心地よさ、それこそ笑顔(Smile)
など質として現れるものは反映されない。実際、サービス業はサービスが中心なんだから、、)
それから労働生産性は資本のコスト分を考慮していません。例えば石油精製産業。少ない労働力で多額の付加価値をもたらすので、一見すると効率的に見えますよね? ですが、それを生産するまでには、多額の資本が投下されているので、必ずしも効率的とはいえません」
現政権は、経済成長の強化を重要課題に挙げていて、労働生産性の伸び率を2011年度までの5年間で5割高める目標を掲げている。ですが、どうやら“5割増しで働け!”という意味ではないようなので、ご安心を。
(R25編集部)
「OECD加盟諸国の労働生産性」はコチラ
※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
下記、大前研一さんからの抜粋です。
こちらで読んで下さい。
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
骨太方針2007
安倍政権として初の骨太方針
労働生産性伸び率 5年で1.5倍に
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
●雇用問題を無視した、
経済の基本さえ理解していない陳腐なレポート
19日、政府は、経済政策運営の指針となる「骨太方針2007」を
決定しました。
安倍政権として初めての骨太方針は「人口減少という状況の
中で経済成長を持続させる」との決意を表明。
成長力を加速させるために労働生産性の伸び率を5年間で
1.5倍にする目標を打ち出しました。
今回の骨太方針を見て、私はその内容があまりにも陳腐なので
呆れかえってしまいました。
開いた口が塞がらないとは、まさにこの事です。
まず、このレポートのお粗末な点として、大きく次の2点が
挙げられます。
※「労働生産性の国際比較」チャートを見る
第1に、「5年間で労働生産性を1.5倍にする」と
述べていることです。
労働生産性とは、付加価値を就業人員で割った数字ですから、
この数値を高めるためには就業人員を減らす必要があります。
具体的には、就業人員を約30%減らさなければ、
労働生産性を1.5倍にすることはできません。
すなわち、「30%分の失業者が増える」ことを
意味していますが、この失業率の上昇という点を考慮した
内容は全くありません。
第2に、労働生産性を高めるための加速成長プログラム
と称して、「工賃の倍増5ヵ年計画」や「最低賃金制度の充実」
を挙げていることです。
工賃を上げたり、最低賃金制度を設ければ、日本での生産が
割高になるため、日本の企業は、生産部隊を中国等の
海外へ移してしまうことが容易に想像できます。
(一方で、フランスやイギリスの最低賃金は1100円程度であることを付け加えます。)
「生産性を改善すれば、失業が増える」、「最低賃金を
上げれば、日本を出て行く企業が増える」というのは、
どちらも経済学の基本として、当たり前のことです。
今回のレポートは、こんな基本的なことすら分かって
いない人が書いたとしか思えないお粗末な代物だと
言わざるを得ません。
●お粗末なレポートを、そのまま掲載する報道機関にも問題がある。
また、その他の項目について見てみると、内容的に全く
まとまりがなく、場当たり的な支離滅裂な内容だということが
よく理解できます。
地域力再生の一環として、「ユビキタス特区を2007年度内を
めどに創設」とありますが、こんなものは必要ありません。
※「骨太方針2007・成長力強化の要旨(1)」チャートを見る
ユビキタスという言葉だけが一人歩きしていますが、
今は東京のどこにいてもネットワークにつながっていますから、
すでに十分ユビキタスです。
規制さえ撤廃してくれればいいだけの話で、特区を創設する
必要など全くないと私は思います。
また、グローバル化改革の中に「EPA(Economic Partnership
Agreement):経済連携協定の締結を充実させる」とあります。
※「骨太方針2007・成長力強化の要旨(2)」チャートを見る
これを実現すると、競争力のない業界が多い日本では、
必然的に失業率が上がってしまいます。
しかし、これについても考慮されていないのは明白です。
「羽田空港のさらなる国際化」なども、私に言わせれば
「成田空港を廃止する」というだけの問題です。
今回の経済財政諮問会議のメンバーを見てみると、
このようなおかしな提案をするような人たちではありません。
※「経済財政諮問会議メンバー」チャートを見る
おそらく、全く経済を理解していない役人が支離滅裂に
列挙しただけで書き上げた結果ではないかと私は見ています。
この点の真偽はともかくとして、さらに1つ残念なのは、
このようなお粗末なレポートに対する批判もないままに、
新聞に掲載されているという事実です。
なぜ、新聞記者は、
「労働生産性を高めることによる、失業率の問題をどう
解決するのか?」、
「今の日本のサービス業の現状からして、5年で1.5倍は不可能な
数字ではないのか?」
ということを質問しないのか、私には理解できません。
新聞記者も単に受身であってはいけないと私は思います。
質の高い質問によって、しっかりと事実を浮かび
上がらせること、その上で事実を伝えることが報道機関の
役割ではないでしょうか。
また、翻って私たち国民1人1人も、単に情報を鵜呑みに
するのではなく、自分で判断する思考力を日々養って
いくことが大切だと改めて感じます。