人は歳を取る過程で、いろんなものを身につけていきます。それと同時に、いろんなものをどこかに置いてきてしまいます。
叱ることを覚えていくと、叱ってくれる人がいない歳になります。自分を守る術を覚えていくと、他人を助けることに目を逸らしていきます。要領を覚えていくと、戒めを都合よく忘れていきます。
個人的には、平和主義だけ唱えるような人に私はなれません。人は性善説より性悪説のほうがしっくりきます。だからこそ、常日頃の気の持ち方を大切にしないと悪い方に流れていってしまいそうで、いつも驕らないよう気を付けています。
そこで紹介したいのが、北欧デンマークにある謙虚さを説く言葉。
『ヤンテの掟』といいます。
デンマーク人作家、アクセル・サンデモーセの小説に架空の町『ヤンテ』は登場します。
その町の住人が守らなければいけない十戒が『ヤンテの掟』です。
1. 人より特別だと思い上がるな
2. 人より善良だと思い上がるな
3. 人より利口だと思い上がるな
4. 人より優秀だと思い上がるな
5. 人より博識だと思い上がるな
6. 自分以上の人間はいないと思い上がるな
7. 自分が何でもできると思い上がるな
8. 他人を笑うな
9. 他人の優しさをあてにするな
10. 他人に教えてもらえると期待するな
謙虚に生きよ、と私は解釈しています。そして、他人を敬えと。
自己中にならず他人をないがしろにしない。そんな当たり前のことが『ヤンテの掟』で示され、いまやデンマークの人々の心に根付いていると聞きました。
周りに甘えない慎ましい生き方、憧れます。
最後に
プロレス好きが読んでもリアルと感じるプロレスラー像が描かれています。
強いだけでも勝てないのがプロレスの面白さだったりします。観客に見せるのはリング上の戦いだけでなくそのレスラーの生き様そのものなので、激しく感情移入してしまうのです。
プロレスを見るたびに、『漂えど沈まず』生きていきたいと思います。
追記になりますが、私の好きだったプロレス団体ノアで最近負傷事故がありました。
上の写真のとおり、タイガースープレックスホールドという技でブリッジしている王者清宮に、挑戦者拳王がダイビングフットスタンプ(ロープ上から飛んで両足で踏みつける技)でカット。見えないところからの危険技で、清宮は首が捻じ曲がり頚椎捻挫負傷。危険技で観客を盛り上げたいとはいえ、プロとしてありえない攻撃でした。
団体の創始者三沢光晴は頸髄離断で10年前にリング上で亡くなりました。齢46歳でした。過去に学ぶなら、選手生命にとどまらず生命に関わるこのカット技のチョイスはなかったはずです。清宮を負傷させた拳王は、対戦相手をないがしろにしただけでなく、観客を置いてきぼりにしました。この最悪な事故は、プロレス好きでもフォロー出来ない悲しい事故でした。
話が大きく逸れました。
『ヤンテの掟』は内なる自分に対する戒めだけでなく、外(他人)への身の置き方を示している点で、生き方の指針と呼んでいいものと思います。
結構深い『掟』です。