親愛なる | エンチャンターの気持ち。

エンチャンターの気持ち。

イルーナWパルルのどたばたエンチャンター、かーちすが綴るぐだぐだ日記帳。リアルのことはシカトでいっすいっす。













いつもと変わらない朝








気だるい体に鞭打って

長い道のりを行く



後ろへ流れて行く風景

とりわけ何も考えていない








いつもと変わらない朝














目的地に到着する


挨拶を交わし事務所に入る


いつもと変わらない光景


いつもと変わらない人々












ただ1つ








ただ1つだけ違っていたのは












そこにいる人達の雰囲気

何か目に見えないものが

上からのし掛かっているように見えた
















「憔悴」











今思い浮かべると

そんな言葉が良く似合っていた













俺の顔を見つけた同僚が

今にも泣き出しそうな表情を浮かべ

どこか重い足取りで近付いてくる


















「あいつ、死んだ」

















は?
何言ってんだお前


















「冗談で言わねえよ」

















発せられる言葉が
微かに震えているその言葉が


これは真実なんだ、と


そう解釈するのに時間は掛からなかった












あまりにも突然のことで
急激に血の気が引き


様々な思いが一瞬にして
頭の中を支配した






何で?
何があった?
意味わかんねえ
は…嘘だろクソ






考えているようで
何も考えられなかった















ポケットの中の携帯が
その日はずっと震えていた



























お前がこの世から旅立って
あれからもう1年経ったぞ




俺は元気でやってる
お前はそっちで大好きな酒を呑んでるんだろ?




あれから色々変わったぞ
お前が残したものも大きくなっていく




やりたかったこと沢山あったろ
見たかったもの山ほどあったろ




棺の中のお前に掛けた言葉
覚えているか?




「今まで息子と仲良くしてくれて有難う」
親父さんにそう言われたよ




泣きじゃくりながら
「キツいです」なんて言っちまったよ。




なんであんなこと言っちまったのかな
声を掛けてくれた親父さんの方が辛いのに




とにかく
とにかく早すぎたな




俺は未だに
お前の奥さんの顔を直視できねえよ














こないだお前の1周忌で
みんなで集まったんだぜ






あれほど集まり悪かった俺たちが
蓋開けたら20人以上も集まったんだ

お前の好きだったビール
みんなで呑んだんだ

お前の分も開けて
ちゃんとテーブルに置いてあったこと

ちゃんと気付いたのかよ
残さず呑んだかよ













お前が逝く直前に
最近みんなと呑んでねーなって
言ってたんだろ?



奥さんにも
最近俺と会ってねーなって
言っていたんだろ?



全部聞いたよ








でもそれじゃあお前

まるで自分の運命を

わかっていたみたいじゃねえかよ














お前とのライン













お前が呑みに誘ってきて
俺が断ってるところで
終わってるんだよな


なぜ俺は断ってしまったのか
もうそのラインが動き出すことはないのに






















生きたくても
生きられなかった


最愛の奥さんと
2人の子供を残して逝った


見たかったもの
やりたかったこと




全て残して逝ったお前
















お前の分まで…とか
そんな気の利いたこと言わねえよ


ただただ俺は


悔いのないように
毎日を精一杯生きるぜ。

















いつか俺もそっちへ行くからよ








そんときゃーお前









浴びるほど酒呑もーや。














親愛なる君へ
追悼の意を込めて静かに綴る。

















友よ、安らかに。