夏の暑さも和らぎ、思えば今年も後半戦だ。
2月以降コロナコロナと口を揃え、普段からできることに自粛自粛のムードが高まった一年間だった。
コロナを生み出した国が悪い。そんなところに行って持ち込んだ人が悪い。会社が悪い、行政が悪い。対応が悪い。
思えば悪者探しばかりの一年だった。
自分自身用心を重ね、悪者とならないようにひっそりと過ごしていた。
そんなある日、衝撃の言葉を耳にした
「ドルチェ&ガッバーナの香水が悪い」
私は思わず3メートルほど垂直に飛び跳ね天井に頭をぶつけた。近所の犬はワンワン吠えながら自分のしっぽに食らいつき、河川に住むうなぎは干からび、渡部健が多目的トイレで不倫し、児島は半沢直樹に出演した。
ついに物言わぬ香水にまで罪を擦り付けるとは・・・なんという時代だ!!
(因みに個人的にドルガバの香水といえば『ライトブルー』のイメージ。男女兼でもつかえる爽やかなやつなのでおすすめ)
しかしこれはどうやらヒットソングの歌詞らしい。少し聞いてみる。
https://www.youtube.com/watch?v=9MjAJSoaoSo
"別に君を求めてないけど
横にいられると思い出す
君のドルチェ&ガッバーナの
その香水のせいだよ"
元カノへの恋心と、お互い変わりすぎて釣り合わぬと後ろに引いてしまう男の葛藤というところか。
それを「こんな不釣り合いな自分がそれでも君を好きになるのはその香水のせいだよ」
と理由をつけたのだ。
でも待ってほしい。彼女を好きなのは香水のせいなのか?それじゃ彼女が香水替えてたら好きじゃなかったのか?
彼氏は犬とか豚なのか?
もし他の人がドルガバの香水をしてたら好きになるのか?見境なさすぎでは?
これが真に好きになった理由だとすると色々と疑問が出る。どういうことなのか・・・。
そうじゃないのだ。これは彼女が好きなのは香水のせいではない!なんであろうと彼女が好きなのだ!しかし自分にとっては遠い存在。そんな人に無謀に恋するのは自分が愚かなのではない。香水がそうさせようとしているんだ!自分は受け身でなにもしていないですよ!男のプライド!!

これが単に不相応な恋をしていただけという歌詞ならきっと「ふ~ん」だけで終わってた。
「自分は悪くない!!ドルガバの香水が悪いんだよ!!」
この見事な責任転嫁こそ、これから求められる新しい逃げ道。
みんなもあるだろう、悩んでいることの一つや二つ。ただ誰にも相談できず、だれも悩みに気づけず。
思いつめることは毒だ。かといって誰かのせいにすることは新たな悩みの種になる。
だからこそ理由は自分ではなく他人でもないが、それ以外にもの原因だとおもえばいいのだ。
昔からわれわれ日本人は、考えても解決できない問題を最後「天狗の仕業じゃ」とか「妖怪のせい」だとかそもそも存在すら疑われるもののせいにしたがるところはある。責めようとしても責められないものに罪を擦り付ける。これならだれも傷つくことはない。試しにさきほどの歌詞をこう入れ替えてみよう。
"別に君を求めてないけど
横にいられると思い出す
天狗のせいだよ"
なんとなく言いたいことは同じように感じないだろうか。
むしろこれは新しい言い訳というより日本古来の伝統様式ではなかろうか?
これからも悪いことはたくさんあると思う。
自分を責めたり思いつめるのはよくない。かといって人のせいにもできない。そんなときはモノのせいにしてやろう。
