こんにちは。かなりお久しぶりです。
衝撃の第一章、狂気の第二章を経て、ついにトビタくん論も第三章。
この記事では、「トビタくん伝説」と題して、22世紀の東京外国語大学におけるトビタくんについて論じていきます。私の妄想茶番劇論考に最後までお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
1.前回までのまとめ
本題に入る前に、2022年現在におけるトビタくんについて知るためにも、第一章と第二章について軽く振り返ります。
「まだ読んでいない」という方は、先にそちらを読まれることをおすすめします。
東京外国語大学の公式キャラクターであるトビタくんは、その愛らしさから大学内外でなじみ深いキャラクターです。しかしながらその設定については不明な部分が多く、なおかつ非常に考えさせられます。
・自称は「飛田学」だが、大学のマスコットキャラクターとなる際に姓名の概念を適用させなかった結果「トビタくん」となった
・翼の筋肉を用いて本を挟み込んでいる
・服を着ているという説がある
・トビリーヌちゃんなどといった、同種・別個体がいる(私はこれらの個体の上位概念として「タフスドリ」という種名を提唱した)
また、トビタくんは大学当局が出すポスターに度々出ては学生に啓発活動を行うなど、権力者の代理人としての役割を果たしています。
2.トビタくん伝説―22世紀の東京外国語大学を舞台に―
ここからは、22世紀の東京外国語大学という未来に着目して、トビタくんがどのように語られていくのか、「伝説」という形式を用いて予測していきます。
ここで「伝説」としたのは、トビタくんがこの先、大学当局のコントロールの範疇を超えた存在として認識される可能性が非常に高いからです。要は、学生や大学関係者の頭の中でのトビタくん像が膨らみすぎた結果、大学の公式キャラクターという本来の役割が忘れ去られてしまい、二次創作などを通じて独自の世界が形成されてしまうかもしれないのです。
この壮大な伝説も、いきなり創作される、ということはまずありえません。前段階として、主に学生による噂話が多数創作されます。例えば、
・課題の提出締め切り直前にMoodle(筆者注:大学のeラーニングシステム)を開こうとすると、トビタくんが突如現れ、処理速度を遅らせる
・学食で鶏肉料理を食べた後にトビタくんを見るとその日の運気が下がる
・主戦の授業中に窓の外に鳥が止まるのは良いことがある前兆である。なぜならその鳥はトビタくんの化身であるから
等々。これは私が勝手に考えたものですが、これらの話が何十、何百と集まったとき、どこかでこれを編纂しようとする動きがあるかもしれません。例えば関西学院大学を例に挙げると、「関学七不思議」という昔からの言い伝えが存在しています。以下はその中からいくつか抜粋したものです。
②夜十一時過ぎになると、商学部前の新月池付近を女性が歩いている気配がする。振り返ると姿は消えている。
③経済学部の建物の二階には、白く塗りつぶされた窓がある。昔、この窓から飛び降り自殺をした人がおり、以後、この窓を塗りつぶした。
⑤中央芝生には、クロス上に道が通っているが、その交点にはUFOが着陸することになっている。
⑥時計台の下で告白したカップルは、絶対に別れる。
(出典:『みんなの民俗学 ヴァナキュラーってなんだ?』島村恭則、平凡社、2020年、57頁。)
これを編纂したのは関西学院大学の島村恭則教授で、本の発行年も2020年と非常に新しいです。これらの言い伝えの研究は民俗学の一分野として行われてきたものであり、今後も行われることでしょう。
関学七不思議のように、語り継がれていくストーリーは合理性とはかけ離れたものですが、そういう「力」が働く別次元の世界が存在するのだと思えば、全く不自然な話ではありません。いわゆるパラレルワールドです。それも相互に無関係ではなく、作用しあい、時に垣間見ることができるような。
トビタくんも同様です。トビタくんが大学当局の意図を超えた存在となったとき、そこには別の「東京外国語大学」が存在しうるのです。我々は様々な機会や媒体を通じて、この別世界を見て、またある時には想起するのです。
上の主張に基づけば、トビタくん伝説とは、別次元の東京外国語大学におけるトビタくんについての物語であるといえます。かなり前説が長ったらしくなってしまいましたが、今回のメインディッシュである、22世紀に語られ、そして編纂されるであろうトビタくん伝説について、わずかではありますが私の考えを提示したいと思います。
以下、学生特有のおふざけや深夜テンション等を含む場合があります。なお、以下の文章における「現在」は、22世紀のことを指します。
昔々、東京外国語大学の某教授が自宅で眠っていると、夢に1羽の鳥が現れた。その鳥に某教授が話しかけたとたん、その鳥は強力な脚で教授をつかまえ、そのまま飛び立った。3日3晩かけて大学の専攻地域すべてを巡った後、某教授の頭上に火が灯り、全ての専攻言語による啓示を得た。目が覚めるとそこは大学の研究室だった。某教授はほどなくして学長となったが、学長室に入るとそこには夢に現れた鳥が数羽いた。そのうち、胴体が水色の個体が頭に乗り、「我、姓は飛田、名は学なり。」と言った。学長はこの鳥のおかげで学長になれたのだと思い、大学の教務課などと相談した上でこの鳥を「トビタくん」と名付け、マスコットキャラクターとした。これがトビタくんの由来だといわれている。
さて、トビタくんの存在が世に知れ渡り、学生たちはトビタくんを可愛がった。SNS上ではトビタくんのファンアートであふれかえった。これに目を付けたのが学生課や教務課で、様々なポスターにトビタくんを起用した。学生はトビタくんのお願いを聞き入れ、規則を守るようになり、秩序の保たれた時代となった。それ以外にもトビタくんは大学の至る所に現れ、勉強熱心な学生とそうでない学生を見分け、学長に逐一報告した。そしてそれを各授業の担当教員に伝え、成績評価の参考とするよう通達した。それだけでなく、トビタくんはインターネット空間をも駆け巡り、締め切りになってやっとレポートの執筆に手を付け始めた学生に対しては、MoodleやGoogle Classroomの動作を遅らせるなどの嫌がらせを行った。
この慣習は学長が交代してからも続いた。歴代学長は陰でトビタくんを畏れ敬い、その噂は当然ながら学生にも広まった。学生もトビタくんを畏敬対象とみなし、様々な方法で彼を崇め奉った。現在トビタくんに関するさまざまな儀礼が行われているが、これは世界各地の宗教が混淆したものである。当のトビタくんは、当初これを偶像崇拝として嫌ったものの、供え物に満足して現在では黙認している。その中でも特筆すべきなのは、ヒンディー語科やインドネシア語科の学生を中心とした、ガルーダ崇拝に似た儀礼であろう。これが行われたのは今から数十年前のことで、ある学生が留学先のガルーダの置き土産を買ったところ、どこからか「天に2つの神なし」という声が聞こえ、その後高熱を出して倒れ、生死をさまよった。しかし、置き土産を返品したところ、たちまち熱は下がったという。これはトビタくんの仕業と考えたその学生は、手に入れたお金で小さな祠を作り、トビタくんを祀った。帰国後、同じものを研究講義棟8階のとある教室に作り、その存在は関係者にのみ知れ渡っているという。
トビタくんは時に化身となって現れることがある。ある時、とある学生が主戦ロシア語の授業を受けていたところ、1羽のハトが教室内に入ってきた。教室中が大パニックとなったが、その学生だけは終始落ち着いていたという。これにより学生はトビタくんの祝福を受け、首席で大学を卒業し、素晴らしい人生を歩んだという。逆に、このハトを叩き落とした別の学生は、その後数日にわたって怪しい物影がつきまとったという。
トビタくんには、キリスト教の聖人と同じように記念日が設けられており、10月15日と決まっている。この経緯には諸説あるが、最も有力なのはある怪奇現象がその日に起きたという説である。かなり前の10月15日の学食に唐揚げ丼が出たことがあった。しかし、それを食べた学生が一時行方不明となったのである。唐揚げ丼は検査の結果衛生面に異常はなく、この件は迷宮入りとなった。この事件の数日後無事学生たちは見つかったが、学生たちの家にあったトビタくんのぬいぐるみが見るも無残な状態になっていた。また、唐揚げ丼を食べた友達の背後にトビタくんに似た鳥の姿があった、という証言もあった。そのため、これはトビタくんが怒ったためであるという結論に至り、反省のために以後10月15日がトビタくんの記念日となり、その日は一切学食で鶏肉を出さないようになった。
【別伝 トビタくんとスルタン】
昔学長をしていた林佳世子氏は、学生からスルタンと呼ばれ慕われた。トビタくんはある日スルタンの前で非礼を働いたため、あやうく捌かれそうになった。トビタくんは毎週水曜日に唐揚げ屋で唐揚げを食べて自らの愚行を恥じることを約束したため、懐の広いスルタンはこれを赦し、解放した。大学周辺の唐揚げ屋の定休日が水曜日なのは、屈辱に満ちた顔で唐揚げを食べるトビタくんを見た唐揚げ屋の店主が、これを他人に見られるのはさぞ心苦しいだろうと憐れんだからである。
私が書けるのはここまでです。おそらく22世紀にはもっと複雑でもっと面白い伝説が語り継がれているのでしょう。思えばこれから何千、何万人もの学生が紡ぐであろう物語を私一人が全部予測するなど無謀な話です。これはただの私の妄想にすぎません。しかし、そのような試みにトビタくんは駆り立ててくれるのです。
念のため繰り返し申し上げておきますが、これはあくまで私の説です。実際の出来事とは何の関係もありません。
3.総括
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
この大学に入ってまだ1年しか経っていない私が、このような荒唐無稽なキャラクター論を書くのは生意気にも程があるだろ、と自分でも思います。しかし、トビタくんというキャラクターはそれだけ印象的で、謎が多く、知的好奇心を刺激してしまう存在です。いつかトビタくんに関して、それなりの論文が書けたら良いなと思っています。
トビタくんはマスコットキャラクターの中では珍しく、公式の設定があまりはっきりとしていません。それゆえに大学各所に散らばる手がかりをもとに真相を追求していかなくてはなりません。この手がかりをどう読み解いていくかによって、トビタくん像もかなり変化してくるのではないかと思います。私も執筆に当たって、多くの方の画像や証言を参考にしました。この場を借りてお礼申し上げます。
総括というよりただの感想となってしまいましたが、トビタくん論は一旦ここで区切りをつけたいと思います。新情報が入ったら、またブログで色々論じるかもしれません。その時はまたお付き合いください。
改めまして本当にありがとうございました。
それではまた。

