送りバント | 名張理数研代表ブログ

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結果を導くやり方を・・・

高校野球も終わって、いよいよ夏休みも終盤です。
仕事の関係でそんなには見ていないのですが、母校の九州国際大付が早稲田実業に完敗した試合だけは見ることができました。まだまだ全国の壁は厚そうですが、九国の選手のみなさんは、この大会で夏の全国制覇もつかめない夢じゃないと感じることができたのではないでしょうか。
私が在学していたころは、県予選ベスト4の壁というのがありましたが、近頃の母校の活躍を目にすると、着実に進歩してきているんだと思います。選手のみなさんとお疲れ様でした。また春も陰ながら応援しています。
そして、ニュースなどでほかの試合も見てみると、豪打が目立った大会だったような気がします。すべてを通してみるとそうではなかったのかもしれませんが、送りバントが少ない大会だったように思います。最近の高校野球では送りバントと通常のヒッティングでは得点の確率は後者の方が高いと考えるようになったチームが増えているのかもしれません。

野球を少しでもやったことのある方ならご存知だと思いますが、野球の試合において一つの重要な攻撃策として「送りバント」というものがあります。アウトをひとつ相手にあげてでも、ランナーを進塁させるというものです。続く打者がシングルヒットを打てば、かなり高い確率で得点をあげることができることが利点です。一方で欠点としてはアウトが一つ増えてしまうということです。3アウトまでしか攻撃できないので、3つのうちの一つを与えるというのはたしかに大きな損失といえます。
では、これを少し数学的に見てみることにしましょう。野球の通常のルールにそって考えると複雑になりすぎるので、条件を制限して考えることにします。

条件①相手投手の能力は考慮しない
  ②フォアボール、併殺打は発生しないが、送りバントでのアウト以外はランナーは進塁
   しないものとする。
  ③送りバントが成功する確率は4/5とする。
  ④1アウト1塁で続く打者二人で得点する確率とし、打者一人がアウトになる確率:3/4、一塁
   打:3/25、二塁打:1/10、三塁打:1/100、本塁打:1/50とする。
  ⑤なお、ランナーは2塁にいるとき、一塁打以上で確実に本塁に帰れるものとする。

 (1)送りバントをする場合
   得点する確率は 4/5×1/4=1/5=0.2
   期待値を考えると
      4/5×(3/25×1+1/10×1+1/100×1+1/50×2)=27/125≒0.216

 (2)送りバントをしない場合の得点パターン
  1.一塁打が2本続く場合(得点1点)
     確率 3/25×3/25=9/625 期待値 9/625

  2.一塁打⇒2塁打(得点1点)
     確率 3/25×1/10=3/250 期待値 3/250

  3.一塁打1本、3塁打1本(得点2点)
     確率 2×3/25×1/100=3/1250 期待値3/625

  4.一塁打⇒本塁打(得点3点)
     確率 3/25×1/50=3/1250   期待値9/1250

  5.二塁打1本と一人はアウト(得点1点)
     確率 2×1/10×3/4=3/20 期待値 3/20

  6.二塁打⇒一塁打(得点2点)   
     確率 1/10×3/25=3/250 期待値3/125

  7.連続二塁打 (得点2点)
     確率 1/10×1/10=1/100  期待値 1/100×2=1/50

  8.二塁打1本、三塁打1本(得点2点)
     確率 2×1/10×1/100=1/500 期待値 1/250

  9.二塁打1本⇒本塁打(3点)
     確率 1/10×1/50=1/500 期待値3/500

  10.三塁打1本と一人はアウト(得点1点)
     確率 2×1/100×3/4=3/200 期待値 3/200

  11.三塁打⇒本塁打(3点)
     確率 1/100×1/50=1/5000 期待値 3/5000

  12.連続三塁打(得点2点)
     確率 1/100×1/100=1/10000 期待値 1/5000

  13.本塁打1本と一人はアウト(得点2点)
     確率 2×1/50×3/4=3/100  期待値 3/50

  14.本塁打⇒本塁打以外の安打(得点2点)
     確率 1/50×23/100=23/5000 期待値 23/2500

  15.連続本塁打(得点3点)
     確率 1/50×1/50=1/2500  期待値 3×1/2500=3/2500

1から15は排反事象なので、確率の和の法則より

    確率:103/400≒0.26 期待値 1949/5000=0.39  
  

   ゆえに、確率、期待値ともに(2)>(1)
    

得られた確率や期待値を考慮すると、送りバントをしない方が得点が多くなる傾向があるようです。特に今回甲子園に出場していた選手の打力を考えるともっと高い確率で安打がでていたので、送りバントをしない方がより良い戦略と考えられます。
今年の甲子園は、打の方が目立っていたので送りバントが減っていたのかもしれませんね。
少なくとも、今の高校野球のレベルだと送りバントはそれほど有効な手立てとは言えないのかもしれません。

ちなみにこの内容は数ⅠA確率の範囲です。高校1年生以上の方は自分で式がつくれるようにしておいてください。(但し、期待値は不要です。)