神様、という言葉は、何とも重くそれでいて理解を諦めてしまっているような、悲しい響きだなと思う。
理解を超えたものへの絶対的な畏ろしさ。
そうして感じる圧倒的な陶酔感。
すべてを表しているようで、実は何も意味をなさないような。
特に、それを神様ではないヒトに対して使う時には。
神様のようと形容された時、よくわからない嫌悪感と、優越感と、悲しみに襲われた。
そうして、このヒトとはヒトとして対等にはなれないのだなと思う。
このヒトの中で私は、飽くまで神様で、完璧を求められる。
その完璧さを汚すしか能のない私は苦しくなる。
神様なんていないのだとまで思ってしまう。
それでも、誰かのことを神様のようだなと思ってしまうことがある。
少なくとも、神が私に遣わしたヒトに違いない、と思う。
ぼんやりとした世界に突如はっきりとした対象が現れ、そこから放たれるすべてが私を私にしてくれる。
もしくは、私でなくなる。
強烈で、すべてが夢のようでもあり、本質のようでもあり、至福の時間。
天使の微笑みに包まれるような、濁流にのまれていくような。
そうして私はいつしか、恋に落ちたと知る。
神様の中にヒトを垣間見るから恋をするのだと思う。
完璧さの鎧を包んだ脆さを知りたくなる。
脆さを隠さない、その完璧さを眺めていたくなる。
完璧なようで完璧ではない、自分と同じはずの何者か。
でも、そう悟った時にはもう遅い。
神様ではなく、そのヒトにもっと触れたいと思った時には、もうそこにはいない。
優しい肌触りの感覚だけが残り、その記憶にまた、恋をする。
神様はいないのに。いなかったのに。
そうして苦しみすら愛おしくなった頃、気まぐれに心の中に影を落とす神様に抱かれながら、ヒトの中に神様を見つけることを知る。