いつものように昼間から店を開けていると1人のお客さんが入って来た。

 

この若い男の子はガールズバーの店長でうちの店の超常連客。

 

彼の吸うタバコは俺が買い置きして店に置いてある。

 

そしてこの買い置きしてあるタバコを彼は通常400円くらいで買えるタバコなのに500円で買ってくれる。

 

金回りは相当良さそう。

 

この日も店長のお勧めのハーブをくれって言う事で俺が2種類のハーブを混ぜたものを渡した。

 

ハーブを混ぜる事をブレンドだかカクテルって言うんだけどどっちの言い方だったか忘れてしまった。

 

今日はボングでいくと言う事なので水を用意して、彼は一心不乱に水をブクブクさせながらハーブを吸っている。

 

ハーブを売ってる俺がこんな事を言うのもなんだけど、真昼間からこんな事をしている彼を見て異様な雰囲気だなと思った。

 

少しすると彼が「店長~最近物忘れがひどいんすよ。ハーブの吸い過ぎなんすかね~?」って聞いて来たから、

 

内心そりゃそうだろ!と思いつつも、そんな事言ったらハーブを買ってくれなくなると思い「ハーブは関係ないですよ!なんせ合法なんだし。すぐにまた戻るんじゃないですか?」って言った。

 

そしたら彼が「そうなんですかね~」って言ってまたボングでブクブクさせながらハーブを吸いだした。

 

この時ってまだハーブが人体にどんな影響を及ぼすかあんまり分かってなかった頃で、とりあえず今は合法なんだから大丈夫だろって思い込んでた。

 

危険な物なら国がとっくに取り締まってるしって。

 

後に分かる事でただ取り締まりに時間がかかってただけなんだけど。

 

ハーブ吸って死んだって話も聞いた事がなく、ただゲロ吐いた時は絶対に仰向けにしないようにって言われてた。

 

理由は仰向けだとゲロが吐き出されないで気道を塞いじゃって窒息死する可能性があるからそれだけは気を付けるようにと。

 

今思えばそんな浅はかな知識しかなくてたくさんのハーブをばらまきまくってたんだなぁと思う。

 

この頃の俺と売人の関係はと言うと、昨日は売人が機嫌よく帰ってたのに今日は不機嫌になる。

 

こんな事の繰り返し。

 

だから俺は根本的に考え方が違うんだなと思った。

 

売人は何が何でもお金至上主義。

 

対する俺はお客さん至上主義。

 

当然負けてあげる事もある。

 

だけど売人はお金至上主義なので負ける事に対して良く思わない。

 

1日でも早く投資した分のお金を回収しようとする。

 

負けてあげればまた来てくれる可能性が高くなるし友達を連れてくるかもしれない。

 

そうゆう事を考えれば少しくらい負けてあげた方が将来的には儲かるってなぜそうゆう風に考えられないのかって思ってた。

 

店をオープンして2ヶ月後くらいに売人が1人の男を連れて来た。

 

今日から一緒に働いてもらうからって。

 

彼は俺の顔を見て来たので俺も見返してあいさつしようとしたら顔を背けた。

 

そしてピンときた。

 

俺と一緒でシャブ中だなって。

 

しかもすでにヨレかかってる。

 

仕事の初日だというのにこんな状態で来る奴で果たして大丈夫なのか?って思った。

 

その後俺のこの予感が空しくも当たってしまう事になる。

 

覚せい剤と合法ハーブ⑥に続く