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Ringo naokiのブログ

自由奔放に、何かに囚われることがないように過ごしています。

そっと頑張ってます。

宜しくお願い致します。

なかがきの二

思ってたより書いてたんですね。
まさか三部作になるとは。
でも今回で最終回。
泣いても笑ってもこれで最後です(?)
では、是非楽しんでいってください。

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「そもそも私を殺そうとしたのは、本当に両親の仇打ちのためなの?」
「……ッ!な、何が言いたいの!?」

「あなた、人殺しを楽しんでたんじゃない?」
「……!?」

淡々と紡がれてるはずの言葉。
だが、幼い少女を追い詰めるには十分のトーンだった。
吸血鬼の言葉は、少女の心に土足で踏み込む、情け容赦ない言葉だった。

「最近、『jack the ripper』、切り裂きジャックがいるらしいわね。それ、あなたでしょ。」
「…………。」
「別に隠さなくても良いわ。『目視できないほど一瞬で切り裂く』なんて芸当ができるのは、あなたのその力ぐらいでしょうし。」
「……そうよ。『jack the ripper』は私の事。」
「一体どんな男かと探し回ってる奴らがこの言葉を聞いていたら、どんな顔するでしょうね。」

ケラケラと笑う。
だが、どこか邪悪さを孕んだ笑いで、目の前の少女を脅えさせるにはこれまた十分だろう。

「おそらくだけど、私の仇打ちの為、練習として人を殺し始めたんじゃない?それでそのうち、『jack the ripper(いもしない人)』なんて呼ばれ始めた。違う?」
「い、いいえ……。」
「やっぱりね。これで少しはスッとしたかな。」
「…………。」
「練習として人を殺しているうちに、人殺しを快感として感じ始める自分がいた。殺戮ゲームを楽しみ始めてる自分が。」
「…………っ。」
「そしたら自信がついたんじゃない?『自分なら簡単に人を殺せる。だから、吸血鬼もわけない。』なんて。」
「……っ!」
「甘いわよねぇ、そういう考え方。でも、人間なら仕方ないかもね。」
「…………。」
「でも、どこかで迷ってる自分もいた。
「!」
「それは仇打ちからそう思ったのか、はたまた人殺しからの罪悪感からだったのか。それは知らないけど、とにかく、自分が間違ってると思ってたんじゃない?」
「間違って……なんかッ……!」
「じゃあどうして私の心臓を狙わなかったの?」
「!」
「どうして『jack the ripper』なんて呼ばれ始めてから人殺しの回数を減らしたの?」
「そ……それはッ……!」
「答えられるはずないわ。だって自分の中で出てないのだもの。納得のできる答えが。」
「お前に……何がわかるッ……!」
「分かるわよ。運命を操れるんだから。」
「!?」
「あなた程度なら手に取るように分かるわ。それに能力に頼らなくても、行動から簡単に読み取れる。」
「そ……そんなわけ……。」
「それにあそこでぼけーっと突っ立ってるだけのやつも能力を使えばあんたが迷ってたり、嘘をついてたらすぐに分かるわよ。ねぇ?」
「……ぼけーっと突っ立ってるのは、お嬢に口出しするな、と言われたからですが?」
「あらそうなの?まさかちゃんと言う事聞いてくれるなんてねぇ。」
「聞かないほうが良かったですか?」
「まさか。とっても利口だったわよ、美鈴。」
「……はぁ。」

ため息を吐く従者を無視して、少女の方に向き直るレミリア。

「……あなた、妖怪の事を少し軽く捉えすぎよ。」
「…………。」
「妖怪はあなたが思ってる以上に強いわよ。ずっと、ずっと、ね。」
「…………くっ。」
「……あなた、ずっと独りだったのね。」
「と、突然何を……!?」
「時間を止める、なんて能力持ってたら、そりゃあ、嫌われるわよねぇ。」
「……うぅ。」
「あぁ、別に泣かそうとしたわけじゃないのよ。ただ、そんな気がしただけだし。」
「……それで?」
「お、開き直って強気になったわね。……幼い頃からずっと独り。そりゃあまともな考え方なんてできないわよね。」
「……バカに、してるのか?」
「まさか。むしろ、非常に興味深いわ。」
「……は?」
「私ね、妹がいるのよ。狂気が強すぎてろくに会えない妹が。今のあなたは、あの子に似てる。」
「……私を、妹の代わりにでもするの?」
「そんなことできるわけないわ。私にとって妹はあの子だけだから。……あの子が狂気に染まってしまったのは、私が原因なのよ。」
「……?」
「自分のことに必死すぎて、あの子に気を向けられなかった。あの子が苦しんでることにさえ気がつかなかった。独りで悩んで苦しんで悲しんでいたはずなのに、姉である私は何も出来なかった。……あの子を、助けてあげられなかった。」
「…………。」
「気づいた時には遅かった。遅すぎた。もう、ろくに会話も出来なかった。そのことがたまらなく悲しかった。何よりも、私はまだあの子が笑ってるのを見たことがないのよ。いつだって悲しそうにしていた。それでいて私に何も言わなかった。独りでずっと抱えてた。だからそのことを知った時、始めて夜通し泣いたわ。」
「…………っ。」
「あぁ、ごめんなさい。こんな話がしたかったわけじゃないのよ。……要するに、あの子に似たあなたが、放っておけないだけなのよ。だから……。」


「私を支えてくれないかしら。
私もあなたを支えてみせるから。」


心からの言葉だった。
心の底から少女を必要としている言葉だった。
先程までの会話で、今までの人生で、傷つき、疲れきっていて、それでいて孤独だった少女の心には、大きすぎる言葉だった。
だが、断ろうとは思わなかった。
まるで何か運命に操られているかのように。
そこにいることが運命であるかのように。

「…………わかり、ました。」

少女の言葉に、レミリアは歓喜し、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。

「ホント!?やったぁ!」
「全く……子どもですかお嬢……。」
「いいじゃない。こんなにも月がきれいなのだから。」

見上げると、満天の星空と、静かに輝く月がそこにはあった。

「……綺麗な、満月ね。」
「……お嬢、あれは正確には『十六夜』、ですが……。」
「…………。」
「…………。」
「……?」

沈黙。和やかな沈黙が辺りに広がる。

「閃いた!」

突然、レミリアが声を上げた。

「うわぁびっくりしたぁ!急に何です!?」
「貴女の名前!」
「……へ?」
「『十六夜咲夜』ってのはどう?」
「いざよい……さくや?」
「十六夜の夜に初めて咲いた花……、それが、貴女よ。」
「夜、って言葉が重複してる気がするのは私だけですかね?」
「うるさい。」
「ハイ」
「どうかしら……気に入らない?」
「……いえ、とっても嬉しい、です。」
「なら、今日から貴女は我が紅魔館の従者、十六夜咲夜よ。よろしく、咲夜。」
「……はい、よろしくお願いします、お嬢。」
「あんたもそう呼ぶのね……。」
「あっはは!私の呼び方がうつっちゃったみたいですねぇ!」

咲夜はキョトンとしている。
そっとレミリアが頭を撫でる。

「うるさい。」
「ハイ」
「……だめ、ですか?」
「……まぁ、お嬢様、って呼ぼうか。ね?」
「……分かりました。」
「この際だから美鈴、貴女も私のことはお嬢様と呼びなさい。」
「えー今更めんどいですよぉ~。」
「いいわね?」
「……はーい。」
「よろしく……お願い、します、お嬢様。」
「うん、よろしく。咲夜。」

レミリアが手を差し出す。
咲夜はキョトンとしていたが、美鈴に握手の事を聞き、差し出された手を握る。垣間見た運命に目頭を熱くするレミリアをよそに、いずれメイド長となる咲夜は、これから先の未来に少しだけ思いを馳せていた。

END?


おまけ
「……お嬢、かっこつけましたね?」
「ま、こういうのも良いじゃない?あとお嬢って呼ぶな。」
「お嬢!」
「……咲夜ぁ……。」