高速道路で愛車を走らせていた午前2時.
この時間に運転することは解っていたから、部屋を出るまではゆっくりと休んでいた.
そのつもりだった.
事実、夕方5時半から、ベッドに篭り十分に眠った後で、
眠気覚ましのコーヒーを流し込んで、君を送り届けるところだった.
高速に乗って早2時間、隣の君は疲れて寝息を立てている.
上り坂の途中に有るトンネルをくぐるまでは、君の寝息さえ聞こえていた.
デッキから流れてくるジャズを絞って、それなりに楽しんでいたつもりだ.
この雰囲気も、なによりも速度に反比例してゆっくりと流れる時間を.
だけど、暗闇の中のその空間に、すべてはかき消されてしまった.
ガイド灯の無い区間.
存在するはずの無いその区間.
明かりの無い高速道路なんて有るはずが無いんだ.
すぐに異常だってことに気付いたよ.
指し示す道は、ただセンターラインしかなかったから.
高速道路の隔壁も、対向車線すらない、暗闇の一本道だった.
そこで不意に気付いたんだ、右手にこもる力に.
ゆっくりとだけど確実に、少しずつ強くなっていく、右手を下に下げようとする
計り知れない力.
インターを降り停車した僕の右手には、赤黒いあざがしばらく消えずに残っていた.