暗闇に冷たい雨が降りしきる中、
一人でなかなか来ないバスを待っていた.
この時期の雨は外を歩く人々に厳しい.
雪ならば濡れることもなく、
風の冷たさに耐えさえすればいい.
濡れてしまえば風の冷たさも加味され、
相乗効果で急速に体の熱が奪われる.
街灯の光でさえ雨に邪魔されて薄暗い.
寒さから逃げるように点けたタバコも、さしてうまくない.
10分送れでやってきたバスには他に乗客はない.
やや前よりの窓際の席に腰を下ろすと、
ヒーターの温かさで睡魔に襲われた.
泡沫の夢を見た.
暖かでどんなことでも受け入れてくれるかのような、広い草原に立った夢だった.
一人なのに寂しくはなく、空は黒いのに一筋だけ延びている光のせいで、
不安も恐怖もなかった.
ただ、大地が暖かだった.