また今年もやってしまった“ぎっくり腰”

昨年もなったので一応気をつけていましたが

喉元過ぎれば…

前回ほど強い痛みではなかったのが

不幸中の幸いでした。


こういうときはエッセイでもと思い

手に取ったのは


『最後の読書』

津野海太郎

新潮文庫


長年、編集者として活躍された

津野海太郎さんの本や作家をめぐる

話が書かれています。


取り上げられているのは

鶴見俊輔、須賀敦子、トーマス・マン

伊藤比呂美など。

ジャンルも古典から海外文学までと幅広い。


目もよわり、記憶力もおとろえながらも

何とか本を読む。

小説というフィクションを楽しむ力が

なくなり、歴史や伝記、回想録、日記

などを好むようになったのだという。


それでも津野海太郎さんは元気で明るい。



医療従業者である子どもに

「人間は年をとって死ぬんじゃない

いつだって死ぬんだよ」と

言われたことがあります。


この言葉は私の中の奥にあり

ときどき顔を出します。


まだ自身の「老い」と向き合うには

今少し時間があり

「最後の読書」というのも

できればまだ先であってほしい。


最近、読みたい本は全部読めるわけでは

ないのだと自分に言い聞かせています。

すでに読みたいと思っている本は多く

これからも増えていきますが、

諦めも必要だと。


時間は限られていますし

読むことが速いわけではないうえに

同じ文章を2度3度と

読み返すこともあります。

それに再読も。


そんなことを考えているうちに

最近はもっともっとという気持ちが薄れ

図書館や本屋に行くことが減りました。

ここ2,3年の間に増えた手元の本や

順番待ちしなくてもいい本を

図書館で借りて読むようになったので。


そんなゆるりとした日々の延長上に

私の「最後の読書」はあるのかもしれません。


ぎっくり腰はだいぶ良くなりましたが、

腹筋が弱いそうなので

ゴロゴロ本ばかり読んでいないで

少しは筋トレをしようと思います。



『私たちは「決して単純でない世界を、

それぞれが「決して単純でない」しかたで

生きてゆくしかない。読書は、その

「単純でない」環境に耐える力を私たちに

あたえてくれる。これまでもそうだったし、

きっとこれからもそうだろう。』