また読書会?と思われそうですが爆笑

今回は私ではなく、他の方のお話です。



『読書会という幸福』

向井和美

岩波新書


『プリズン・ブッククラブ』

『アウシュヴィッツの歯科医』などの翻訳を

されている向井和美さんが30年ほど前から

参加されている読書会について書かれた本。


なんといっても読んでいて楽しかったのは

読書会で取り上げられた本の紹介です。

海外の小説が多いのですが

次から次へと読みたくなります。


一番気になったのは

『チボー家の人々』でしょうか。


向井さんが参加されている読書会の

原点なのだとか。


同時に紹介されていたのは高野文子さんの

『黄色い本 ジャック・チボーという名の

友人』(講談社)




女子高生である実地子が学校で、通学の

バスの中で、夜寝る前にととにかく

ずっと『チボー家の人々』を読んでいる。

そして実地子の日常に、本から抜け出した

ジャックが来たり、本の世界に

実地子が行ったりして会話を交わす。


これこそ本を味わうということで

読書の醍醐味。


就職が決まった実地子が卒業前に

図書館で借りた最後の一冊を返す場面は

こちらまで切なくなります。


「いつもいっしょでした。たいがいは夜。

読んでいないときでさえ。だけど

まもなくお別れしなくてはなりません」


そしてこの『黄色い本』(あっ漫画です)

漫画家、文筆家のヤマザキマリの

本棚にもあります。


NHKの番組『本の道しるべ』で

発見しました。

この番組の中で、ヤマザキさんが

「本を読むことで満たされ、支えられ

次への持続力になっていた。本は

栄養であり、ガソリン。生きのびるための」

とおっしゃっていましたが、

向井さんも本や読書会によって

支えられているのだと書かれていました。

もちろん私も。


「本は自分の人生を映し出す鏡でもある」


「本について語りながら、実のところは

わたしたちの人生を語り合ってきたのでは

ないかと思う」


向井さんが大学生だった頃、大学構内でも

新興宗教の勧誘をしている人がたくさん

いたそうです。宗教に傾倒していった

彼らは浮ついた時代にあって

人生について真剣に考え、悩んでいた

人々でもあったのだろうから

あの頃に読書会があったら良かったのに

という向井さんの言葉には

考えさせられるものがありました。


先日、本屋で立ち読みをしていたら

何気なく開いたページに出ててきた

『黄色い本』『チボー家の人々』

という名前。

全然関係のない本で、目次にすら

書かれていないのに。

すごい偶然にびっくりしました。


でももう既に手元にある、こちら。



13巻あるので、ゆっくり味わいながら

読むつもりですが

読み切れるのか、ちょっと心配ニコニコ


今年もよろしくお願いいたします。