『おいしいごはんが食べられますように』

高瀬隼子

講談社

2022年9月16年 第10刷発行


次回読書会の課題本。

前回の課題本は音楽に関係のある本

ということで『オンガクハ、セイジデアル』

(ブレイディみかこ)を読もうと思って

いたのですが、自分の読書を優先させて

いたら手をつけられなかったので、

今回は早めに読了しました

ゆるゆる読書会なので問題なしウインク



課題本でなかったら多分読まなかった

本だと思います。


頭痛持ちで、前の職場でパワハラを経験した

芦川さんが、早退ばかりして申し訳ないと

職場に手作りのお菓子を持っていく。

それを良く思わない二谷と押尾さん。


私も年に一度、クリスマス・イブに

シュトーレンを職場に差し入れします。

クリスマスから正月にかけては

怒涛の忙しさなので、休憩の間に

一息入れてもらおうかなと思って。


休憩室に置きっぱなしにしているだけで

「食べたい方だけどうぞ」という適当さ。

今の職場は私以外にも手作りの差し入れが

あるので、気にすることなく続いている

のかもしれません。


手作りのお菓子やパンに嫌悪感を持つ人が

いるのは知っているので、

この本はざらざらした気持ちを味わうことに

なるだろうという予感がありました。


それにしても、頭が痛くて早退したのに

翌日ケーキを焼いてくるぐらいなら

もう少し仕事を頑張ろうよ、芦川さん。

申し訳なく思う気持ちはわかりますが

そんな事しないほうがいいのでは。


芦川さんの作ったお菓子を食べる時の

美味しくなさそうな表現や

潰してゴミ箱に捨ててしまうところとか

そういう場面ばかりが

印象に残っています。


手作りのお菓子は実物以上に多くのことを

イメージさせるのかも。

料理を頑張る女性とか、食生活や健康に

対して意識が高いとか。

でも自分や家族のためにそうすることは

むしろいい事なんですけどね。

(私はただのパン好きです…  )


そもそも食に興味のない二谷にとっては

お菓子の周りに付随しているように思える

考えを押しつけられたように感じたのだ

と思います。


不思議と読んだ後は、ざらざらした感じは

残りませんでした。すっきりしたわけでも

ありませんが。


『ままならない人間関係を、食べものを

通して描く傑作』(帯より)


私はどちらかといえば、人間関係を通して

食について考えてしまった一冊でした。