ブロ友、ハイジさんに教えていただいた本



『ソーネチカ』

リュドミラ・ウリツカヤ

沼野恭子 訳

新潮社

2002年12月20日発行


幼い頃から本の虫だったソーネチカ。

「本」は常に彼女と共にありました。


反体制派の芸術家と結婚してからは

少しづつ本と離れてしまいます。

2人の結婚生活は貧しけれど

お互いを慈しみ、穏やかな日々。

子どもも生まれ、困難があっても

一つ一つ乗り越えていくソーネチカ。

しかし彼女の予想もしないことが起こります。


ソーネチカは大切なものを手放しても

それらが輝く存在であることで、寂しさを

感じつつも自分は幸せだといいます。

そして一人になって再び本の世界に戻っていく。


「毎朝が、自分にはもったいないような

「幸せ色」に染めあげられており、

あまりに眩しすぎて、いつまでたっても

慣れることができないほどだった。

この女の幸せはいつ失ってもおかしくない、

というひそかな覚悟が心の奥底に

息づいていた」


これほど気高い(あるいはお人好し)

心を持った人がいるのかと思いますが

家族がありながらも幸せに対する違和感を

ずっとソーネチカは抱えていていました。

そんなソーネチカを、支えていたのは

「本」だったのではないでしょうか。

たとえ読んでいない時期であっても。


静かな余韻のある小説

またお気に入りの作家が増えましたおねがい