夏の日差しを受けて
千年の読書 人生を変える本との出会い
三砂慶明
誠文堂新光社
2022年1月22日発行
表紙はアンリ・マティスのドローイング
前回に続き、三砂慶明さん。
本屋の本棚は大体2メートルの高さで7段。
本棚の1段には30冊程度の本が並ぶので
1本の本棚には約210冊程の本が
並ぶのだとか。
この本は本屋にある本棚をイメージして
書かれた読書エッセイ。
「本との出会い」「働き方」「経済」
「死」など、章のテーマに沿って
話を展開していく中で、それぞれ
30冊ぐらいの本が紹介されています。
家にいながら本屋を訪れたような
お得な気分
以前ブログでも紹介した『戦地の図書館』も
本棚の一角にありました。
本が傷ついた兵士の心を慰め
人生を救った。
『戦地の図書館』が本は心を生き返らせる
ことを教えてくれたのだと書かれていました。
俳優を目指していた大学の同級生が
サン=テグジュペリの『夜間飛行』を読んで
本当にパイロットになったそうです。
友人の気の遠くなるような努力と歳月を
目のあたりにして、三砂さんは
一冊の本の持つ力を知りました。
文章が人柄をあらわすのだとすれば
三砂さんは真面目で誠実な方では
ないかと思います。
くだけているわけではないのに
親しみの持てる文章。
丁寧に一冊一冊を読者に紹介しています。
「本は、僕たちの内部の凍結した海を
砕く斧でなければならない。そう
僕は思う」
『決定版カフカ全集』カフカ
「古典と呼ばれる書物はじつに不思議な
存在である。いつも、多くの人に向かって
書かれていると同時に、個々の読者に
送られた手紙のようでもある」
『悲しみの秘儀』若松英輔
「ささやかですが、本の世界への
招待状のつもりでこの本を贈ります。
今日もあなたと私に、新しい本との
出会いがありますように」
やっぱり三砂さん、とっても良い人の
ような気がします