帰り道で




 週刊文春に掲載されていた山崎努さんの
 読書日記です。

 山崎努さんといえば、映画『モリのいる
 場所』が浮かびます。

 伝説の画家と言われる熊谷守一を山崎努
 さんが、その妻を樹木希林さんが演じて
 いました。

 30年間外に出ることなく、庭の生命に
 向き合い描き続けた熊谷守一。

 森のような庭をイメージして観ていたのに
 それほど広くありませんでした😅

 実際の広さは関係ないのです。
 一本の木、一枚の葉、蟻や石ころに
 心を寄せていれば、そこには無限の世界。

 この本は再読です。
 コトラーさんが書かれた記事を
 読ませていただいて
 また読みたくなりました😄

 本の解説は作家池澤夏樹さんですが、
 「名品エッセイ」と紹介されています。

 中心には本。

 しかしながら山崎さんは自由に気の向く
 ままに書かれていて、それでいてその本を
 読んでみたいと思わせる書評ばかりです。
 構成が素晴らしい。

 寺山修司『家出のすすめ』のときは
 娘さんのエピソードが書かれていました。

 3、4歳の頃は家出が趣味で、小さい
 バスケットにぬいぐるみなど詰めて
 知らない道を一人颯爽と行く。しばらく
 泳がせてから回収するのだが、家出って
 なに?と訊くと、自分の好きなように
 右へいったり左へいったりするの、
 それが家出。

 微笑ましさとユーモラス。

 連載最終日は本と関係のない話から
 始まります。

 久しぶりに電車に乗ったら
 「なんということか、おれが、僕が
 席を譲られたのだ」
 納得がいかなかったが、乗り換えた次の
 電車でも、また「どうぞ」

 「この連載の一回目に当方未だ老人への
 ギア・チェンジが完了しておらず、と
 記したが、意外なかたちでギアは
 納まってしまった」

 もちろん本について書かれている
 文章がもっとも多く、取り上げられた
 本も小説、エッセイ、写真集
 ノンフィクションと様々。

 再読にもかかわらず、また読みたい本を
 見つけてしまいました。
 
 池澤夏樹さんが「この本を肴にしていると
 話はいくらでも広がる。それと同時に
 どんどん本を買う。気をつけなくては」
 とおっしゃっているぐらいなので、
 仕方ないのかなと思われます😅