先日、「なかなか読み終わらない
 『カラマーゾフの兄弟』」なんてタイトル
 で記事を書きましたら、思いがけず
 応援をいただきましてありがとうござ
 いました😄

 おかげさまで無事、読み終わりました。
 
 今は「頑張ったな自分」という感じです。
 前半はなかなか文章が入ってこなかった
 のですが、慣れてきたら比較的スムーズに
 読むことができました。

 といっても、やっぱり難しかったです。
 宗教に限らず、ロシアの歴史やドストエ
 フスキーについての知識があれば、
 もっと深くその世界に入ることが
 できたというのは、文末の解題を読んで
 感じました。
 
 お金に執着し、女性が大好きなどうしよう
 もない父親と3人(もしくは4人)の
 息子たち。
 婚約者がいるにもかかわらず、長男は
 他の女性を父親⁉︎と取り合うし、長男の
 婚約者を次男が好きになり、三男は
 修道院に入ってしまう。そしてある日
 父親は殺され、長男に疑いがかけられる。
 
 ロシアという国に対しての「暗」の
 イメージとこの内容と長さ。

 今まで敬遠していた本ですが、
 面白かったです。

 なんといっても、登場人物が
 生き生きとしています。
 今の自分の感情に忠実。
 過去の自分の言動と矛盾するだとか
 後先考えてなんてことはしない。
 もちろん、忖度なんて微塵も考えない。
 薄っぺらではなくて
 複雑な人間のまま存在しています。

 これだけ人々が激しいとかえって
 小気味良く感じられます。
 かといって、子どもの頃に読んでいたら
 受け入れられなかったかもしれません。

 神や善悪について語った部分も多く
 理解できていないなと思いながらの
 読書となりましたが、
 それでも主人公の三男、アレクセイが
 大事な人の死から立ち直る場面など
 印象に残ったシーンも多いです。
 
 今度は細かいディテールにもこだわって
 読んでみたいと思います。
 実はドストエフスキー自身、父親を
 殺されていて、その体験がはめこまれて
 いるのです。再読となれば、もう少し
 内容も深く読めるでしょうし
 また読んでみたいと思わせるものが
 あります。

 そしてつくづく思うのは、続編が
 読みたかったということ。これだけの
 長編でありながら、これは1部。
 2部はドストエフスキーが亡くなったため
 書かれることはなかったのです。
 主人公たちがどうなっていったのか、
 知ることができないのは、
 本当に残念。

 「人間どもは、あれだけ文句なしの頭脳を
 持っていながら、こういったコメディを、
 なんだか深刻なものとして受けとめている
 ここに連中の悲劇もあるってわけですよ。
 たしかに連中は苦しんでいます。もちろん
 ですとも。でも… やっぱりそのかわり
 生きているじゃないですか。現実離れした
 生き方じゃなくて、リアルに生きてる
 じゃないですか。なぜって、苦しみ
 こそが人生だからですよ。苦しみのない
 人生に、どんな満足があるっていうんです。
 何もかもが、果てしないひとつの祈りと
 化していますよ。そりゃ神聖だろうけど、
 ちょっと退屈でしょうね。」
 

 古典の力強さを感じました。
 また他の作品も読んでみたいと思います。